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「ジュリを置き去りになんてするわけない。大好きなんだもん。どこにも行かない。神様にだって誓ってやる」
「かあ、さん」
「あたしのかわいいジュリ……大好き、愛してる。ずーっと、一緒だよ」
「っ……かあさん……かあさぁんっ!」
「うわっと!」
わっと声をあげたジュリに抱きつかれたら、体重を支えきれずに後ろへ倒れ込んでしまった。
ぽふんとシーツのクッションに受け止められて、後にはのしかかる息苦しさが残る。
「約束だからね……ずっと一緒だからねっ……!」
「うん、約束。頼りなくてドジなお母さんだけど、これからもよろしくね」
「言われなくてもっ……母さんのお世話するのはオレだもん! とびっきり美味しいフレンチトースト作ってやるんだからっ……!」
「やった。あたしジュリのフレンチトーストが世界一好きだよ」
ぐりぐりと首筋に擦りつけられる青藍の頭を撫でながら、こういうのを幸せって言うんだろうなって、もらい泣きしちゃう。
「そうやってさ、ジュリは魔法なんか使わなくても、あたしを笑顔にする天才なんだよ」
「……すぐまたそういうこと言う……」
「だってほんとのことだからね。ねぇジュリ」
「……うん」
「もっと甘えても、いいんだからね」
あたしは君の、お母さんなんだから。
そっと口にして、あぁ……と感嘆がもれる。
そうだよ、この繋がりは、目には見えなくても感じる、たしかなもの。
「うん……大好き、母さん……愛してる」
互いの体温をきつく抱きしめ合ったなら、この絆はもう、誰にもほどけない。
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