*72* 絆を結んで

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「ジュリを置き去りになんてするわけない。大好きなんだもん。どこにも行かない。神様にだって誓ってやる」 「かあ、さん」 「あたしのかわいいジュリ……大好き、愛してる。ずーっと、一緒だよ」 「っ……かあさん……かあさぁんっ!」 「うわっと!」  わっと声をあげたジュリに抱きつかれたら、体重を支えきれずに後ろへ倒れ込んでしまった。  ぽふんとシーツのクッションに受け止められて、後にはのしかかる息苦しさが残る。 「約束だからね……ずっと一緒だからねっ……!」 「うん、約束。頼りなくてドジなお母さんだけど、これからもよろしくね」 「言われなくてもっ……母さんのお世話するのはオレだもん! とびっきり美味しいフレンチトースト作ってやるんだからっ……!」 「やった。あたしジュリのフレンチトーストが世界一好きだよ」  ぐりぐりと首筋に擦りつけられる青藍の頭を撫でながら、こういうのを幸せって言うんだろうなって、もらい泣きしちゃう。 「そうやってさ、ジュリは魔法なんか使わなくても、あたしを笑顔にする天才なんだよ」 「……すぐまたそういうこと言う……」 「だってほんとのことだからね。ねぇジュリ」 「……うん」 「もっと甘えても、いいんだからね」  あたしは君の、お母さんなんだから。  そっと口にして、あぁ……と感嘆がもれる。  そうだよ、この繋がりは、目には見えなくても感じる、たしかなもの。 「うん……大好き、母さん……愛してる」  互いの体温をきつく抱きしめ合ったなら、この絆はもう、誰にもほどけない。
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