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「さぁ食らうがいい、必殺──『おふくろの味』!」
「お……おぉ?」
パチパチ、とまばらな拍手が遅れて到着。ずる、と落ちたフリルの肩紐を定位置に戻す。
状況がよくわかっていないだろうに、目を白黒させながらも一応反応はしてくれるジュリ。ありがとう、優しいね。
咳払いをしたのちに、なんでもないように赤いギンガムチェック柄の胸を張り直した。
「星凛さんお手製肉じゃが定食だよ!」
──そうだ、ジュリにごはんを作ってあげよう。
体力が落ちてるだけで食欲は問題ないらしいとイザナくんづてに聞いてから、すぐさまペンを取った。
あたしの計画を伝えたところ、泣き疲れた我が子を寝かしつけているうちに、オリーヴが色んな準備を整えてくれてね。
──和食って、作れたりする?
そんな無茶ぶりにも見事応えてくれたわけだ。アンジーさんという、強力な助っ人を呼んできてくれて。
何故日本の台所顔負けな食材に調味料、調理器具までが完備されていたのかという問いに、オリーヴはこう答えた。
「薔薇園に次ぐ、わたくし自慢のコレクションですから」
──故郷の味は、恋しくなるものね、と。
ほんと頭が上がりません、薔子姉さん。
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