*73* 赤いギンガムチェックをまとって

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「これまたユニークなかたちだね?」 「ライスをぎゅっと握りました。やっぱ定番は三角形の塩むすびでしょう」 「こっちの細長いオムレツは?」 「だし巻き玉子だよ。ひとくちサイズに切り分けたらいくらでも食べられちゃうんだよなー、これが」 「嗅いだことのない香りのスープがある……」 「いわゆる味噌スープです。和食には欠かせないものです」 「ミソ……?」 「ペースト状の調味料を溶かして、スープに味つけをするのよ。具材はわかめとお豆腐があれば完璧。異論は認める」 「それで、これが」 「本日のメインディッシュにして日本人のソウルフード、肉じゃがです。やわらかーい牛肉を、味がしみしみでホクホクなじゃがいもと一緒に召し上がれ!」  ついでにあたしも召し上がるわ。手を合わせて、いただきます! 「はぁあ……しみるわぁ……!」  お味噌汁をひとくち飲んで、ほぅ……とため息。これよ、この味よ……!  全身へしみ渡る旨味に、あたしは天才かと自画自賛したくなる。  いや、前世の記憶を頼りに作物を品種改良し、自家製の調味料を作り上げ、調理器具までもそろえたオリーヴ様のおかげです。
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