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「ばかだね。嫌なわけないでしょ」
夜空の星は一切の輝きを失わずに、そこに在った。
「オレだけじゃない。これから生まれてくる弟や妹たちも、みんな家族で、母さんの味方だ」
あぁ……君はこんなにも、強い意志を宿した瞳をする子だったろうか。
優しさの奥に灯った、たしかな熱。
昨日の自分とは違う。君も、あたしも。
「ありがとう……」
「オレのほうこそ。『想い』を受け止めてくれて、ありがとう。あなたがオレの母さんでよかった。生んでくれて、ありがとう」
「……うんっ……」
親にとって、こんなに嬉しい言葉はないよね。
君がそばにいれば、あたしももっとずっと強くなれる。
不器用かもしれないけど、迷いながら、手を取り合いながら、1歩1歩しっかりと歩んでいこう。
滲む視界でひときわ優しく微笑んだ少年が、手を差し伸べてくる。
「──セリ」
呼ばれた名前。目を見開く頃には、両頬を包み込まれ、額がふれあった後だった。
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