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――やけくそで通学路を漕ぎきって、私は高校に辿り着いた。家からの所要時間はなんと50分。ここまで来れば島よりは余程マシなくらいの発展度の町になる。
乱れた髪をこそこそと直しながら教室に上がって、私はドアを開けた。
「おはよう」
「おはよう。七花」
七花という私の名前を呼ぶクラスメイトが1人、学校が始まってから1週間なのでまだ出会ってから1週間、そんな新しくできた友達である。この短い期間で下の名前で呼び合うような仲になれた。
「大体先生たちの自己紹介とか授業の進め方の話も終わったし、今日ぐらいから本格的に授業やね」
「そうなのかな。だるいね。高校受験が終わったばっかなのにまた勉強」
「まだ序盤は簡単だろうけどついに始まってしまうのかって感じだよね」
「そんなことより今日から部活の見学できるんでしょ。もう何入るか決めてるの?」
席に座ると、朝のホームルームまでの休み時間にスクールバックを抱きながらの雑談が始まる。
「中学時代はバレーボール部だったって話したよね?」
「うん」
「そうだったんだけどもうバレーはいいかなって」
「分かる。私も陸上部だったんだけどもう絶対陸上部だけはやだ」
「ダンス部とかよくない?それか弓道部とか」
「何その2択」
「え、高校から始めるってなったらこの辺じゃない?」
「確かに。まあ今日一緒に色々見て回ろうよ」
「うん」
前の席に座る1番仲良くなった子の他にもいくらか挨拶を交わせるくらいの友達はもうできていた。田舎住みの同級生たちは皆良い子そうだし高校生活における人間関係のスタートダッシュは上手く切れている。
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