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「あの世に娘がいるっていう保証はあるのか?娘だって成仏してないかもしれないじゃないか」
確かにそれもそうだ。そう思ってたとき、この前の百合の花のところにいた女の人の霊とおじさんが似ていることに気が付いた。
「娘さんは百合が好きだった?」
「ああ、百合と猫が好きだった。家の近くに川があってね。誰かが植えたんだろう。この時期になると百合や薔薇が咲くんだが、ちょくちょく見に行ってたよ」
私は確信した。あの女の人は娘だ。二人を同時に成仏させてあげよう。それにしても猫も好きだったなんて偶然だ。
「おじさんが住んでたのはここから二駅離れてるでしょう。土曜日に私と電車で住んでたところに戻りましょう。それまで人に憑くのはやめて体育館に居て。約束を守ってくれたら娘さんに逢わせてあげるから」
おじさんは明るい表情になった。そこへ続々とみんなが帰って来た。私は星奈に頼んでおいたスポーツドリンクを受け取った。
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