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部活が終わり家に帰る。お母さんが酢豚を作っていた。家のお母さんは星奈のところとは違ってパートで働いている。私はお母さんに言った。
「なんだか最近忙しいよ。そうだ。日曜日は向日葵を見に行くからね」
「星奈ちゃんと?」
「うん」
私は返事をしてキッチンのカウンターに置いてある椅子に腰掛けた。お母さんはピーマンを切っている。横のざるにはもう切られた玉ねぎやニンジンが並べられていた。
七時半にお父さんが帰って来た。私たちは夕飯を食べた。
次の日、部活に行くために八時に家を出る。駅に行くまでの川沿いを歩いた。百合の花が咲いているところだ。女の人はやはり百合を見ていた。私はスマホのスイッチを入れてアルバムを開いた。スズの写真を女の人に見せる。
「あ、猫」
「やっぱり猫も好きなんだね。今日はお父さんも連れてくるから一緒に神社に行こうね。あの世には花も咲いてるし猫もいるよ」
「お父さんを連れて来るってどういうこと?」
「お父さんも事故で死んだの。貴女のことが気がかりみたい。私の部活の後輩に憑いてた。私、今日は部活が午前中だけだから一時には来るよ」
女の人は泣きそうな顔をした。
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