おやすみ

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 学校に着いて二年四組の教室へ行く。この高校は共学だ。後ろのドアから入ると星奈が男子と話をしていた。私は邪魔をしたらいけないと思い、席に着いてリュックを置いた。 私の席は前から三番目の窓際だ。黒いリュックから教科書とノート、猫の柄のペンケースを出す。スマホは電源を切った。机の中にすべて入れると窓の外を見た。灰色の空で今にも雨が降り出しそうだ。雨の日は幽霊を多く見る。見えるからといって害があるわけじゃないが、私は出来る限り神社に連れて行ってあげることにしている。神社に拘りはない。大抵の霊は鳥居をくぐるだけで成仏できる。薄くなった霊に「おやすみ」というと、怨霊は眠ったようになって天国に行く。この方法は夢で知った。死んだひいおばあちゃんが教えてくれたのだ。
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