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お昼休みになった。学校の規則ではスマホはこの時間は使っていいことになっている。私はアルバムを開いて幽霊の手が写ってない百合の花の写真を見た。ピンクの花びら、とてもよく撮れている。星奈が来たので画面を見せた。
「わ、綺麗じゃない。どこで撮ったの?」
「家の近くの川。百合の花っていいよね」
私はそう言って微笑んだ。星奈は自分のスマホを出して飼っているアメリカンショートヘアの写真を見せてくれた。
「話は変わるけど最近この子、スズが元気がないの。食べても吐いちゃうし、寝てばかりなの。鈴本くん家もアメリカンショートヘアを飼ってるでしょ。今朝訊いてみたんだけど、分からないって」
鈴本くんとは星奈が朝、話してた男子だ。
「動物病院は連れてったの?」
「うん、毛玉を吐いてるんじゃないかって。でも心配で心配で」
星奈は眉を下げる。私はスマホの写真に霊の気配を感じた。実際に視ているわけではないからハッキリ言えないが怨霊に憑りつかれているのかもしれない。
星奈の家は学校がある駅にある。部活をしないで行って視てあげようか。二人ともバスケ部だ。でも星奈は私に霊能力があることを知らない。私は小さいとき、この能力に気付いてお母さんに言ったら「そんなこと冗談でも言ったら駄目です」と言われたからだ。
「スズのお見舞いに行こうかな。部活を休んで」
「来てくれる?スズは美緒になついてたから喜ぶと思う。顧問には休むって言っておくね」
私は頷いてお弁当のブロッコリーを口に入れた。
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