おやすみ

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 今は部活をしてないから四時前だ。私はコーヒーにミルクとガムシロップを入れてかき混ぜた。一口飲んでからクッキーに手を伸ばす。甘くてとても美味しかった。  十分くらい休んで下に行くことになった。星奈が先に立って歩く。私は後から階段を降りた。リビングの引き戸を開けるとソファーがあって端にキャットタワーと猫用の青いベッドがある。スズは寝ていたが私を見ると頭を上げた。私はスズの横に小さい女の子の霊がいるのが分かった。小学校の一年生くらいだろう。幼くして死んだのは可哀そうだ。だがこの子は既に怨霊になってしまっている。 「スズ、苦しかったね」  私はそう言うと星奈とお母さんをどうやってこの場から離れてもらおうか迷った。私が霊が見えることは言えないし、二人の前で小さい女の子の霊とは話せない。苦しい嘘をつくか。 「あの、私、猫が元気になる歌を歌いたいの。星奈と星奈のお母さんは恥ずかしいから聴かないで。二階で待っててくれる?」 「そんな歌あるの?でもまあいいよ。お母さん、私の部屋に行こう」  星奈はお母さんとリビングを出て行った。私は女の子の霊に話しかけた。 「ねえ、あなたの名前は?あなたはなんで猫に憑いてるの?」 「私は日和(ひより)、病院をうろうろしてたら星奈が来て、おばさんのお見舞いをしてたの。そのとき家に可愛い猫がいるって言ってたの。私、猫に会いたくてついてきちゃった」  私は頷いた。病院にいたってことは日和ちゃんは入院をしてたのかな。可哀そうだけど、このまま居させるとスズも死んでしまう。
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