おやすみ

9/17
前へ
/17ページ
次へ
 次の日、学校へ行くと、教室へ入る。星奈が鈴本くんと話をしていた。私に気付くと星奈が手招きした。 「スズ元気になったよ。今朝は餌を食べても吐かなかった。ネズミの玩具(おもちゃ)でも遊んでたんだよ。美緒のおかげ。鈴本くんにも報告してたの」 「そう、良かった」  私は口角をあげた。  リュックを置きに席へ行く。椅子に座って荷物を引き出しに入れると窓の外を見る。今日は曇りで雨は降っていない。遅刻ぎりぎりの子が走って門を通過している。私は今は朝練が一時的に顧問の都合でない。だがいつもは朝練なので遅刻をしたことがない。  星奈は鈴本くんと話し終えて私のところに来た。 「ねえ、日曜日、美緒の家に行ってもいい?近くに向日葵(ひまわり)畑があるでしょう。一緒に見に行こうよ」  近くといってもバスで十分の場所だ。向日葵の背丈が伸びると迷路を作ってくれる。まだ迷路はやってないだろうが見に行ってもいいな。 「いいよ。雨じゃなかったらいいね」 「ね、週間天気予報だと曇りだったよ」  それにしても星奈は本当に花が好きだな。私は笑顔になった。  お昼休みになった。鈴本くんが私のところへ来た。 「猫を元気にさせたの凄いな。(うち)のアメリカンショートヘアの具合が悪くなったとき頼むよ」  それは霊に憑りつかれていた場合しか元気に出来ない。私は言った。 「たまたまだよ。鈴本くんは猫が好きなんだね」 「ああ、だから病気になられちゃうとつらいんだ」  私は頷いた。(うち)は私が小さいときインコを飼った。死んでしまったとき大泣きしたのを覚えている。インコは七年生きた。だから寿命だったのだと思うが……。私は卵焼きを食べながら頷いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加