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◆
轟音と、脳を外から揺さぶってくるかのような振動で、夜中に目が覚めた。
――えっ、何? 何が起きたの?
寝ぼけ眼でスマホを覗くと、見慣れない表示が画面いっぱいに表示されている。緊急地震速報。
震源はすぐ近くというわけではないが、あたり何県にもまたがった広範囲の地震らしい。震度は……えっ、そんなに大きいの?
慌ててネットで確かめようとしたけれど、回線が混乱しているのか一向に繋がらない。
部屋の電灯はつかず、深夜三時なので外は真っ暗闇。街灯も消えている。
えっと、大地震が起きたら何をしたらいいんだっけ?
まず火の元……は昨晩から消したままだし、倒れてきそうな家具はないはずだ。部屋が狭くてベッド以外に大きな家具がなかったのが幸いした。
情報が遮断された中で、不安がどんどん膨らんでいく。普段、ニュースもドラマもスマホで見るので、テレビは持っていない。
いや、持っていたところで電気が止まっているのだから、見られないだろうけど……。
そもそもこんな古いマンションだと、建物自体が倒れたり崩れたりはしないだろうか。今のうちに外へ避難した方が良いのでは。
そう思い立って、スマホの光を頼りに玄関へと向かうことにした。途中の台所には割れた食器が落ちているかもしれないと思い、ベッド脇に散らかっていたスリッパを履く。
――嘘でしょ、外に出ることもできないの?
辿り着いた玄関の扉は地震の振動で歪んでしまったのか、ノブを下げて全体重をかけてもびくともしなかった。
それならばと、リビングの窓へと引き返すがここは三階だ。窓から逃げるのも難しそうだ。
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