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こっちで仲良くなった理沙なんかは、一緒にショッピングへ行っておしゃれなインテリアショップで雑貨を見ていても、
「かわいいし値段もお手頃だけど、買っても置く場所ないしなぁ」なんてぼやいている。
理沙は電車で何駅か向こうの隣の市に実家があって、そこからわたしと同じ大学に通っている。
いつも控えめだけどどこか冷めていて、その穏やかさの中に諦めの色が滲む理沙を見ていると、ときどきわけもなく気持ちが泡立った。
思わず、「実家暮らしなのにそんなこと気にする?」などと、僻み半分で言ってしまったことがあるけれど、理沙は気を悪くするようすも見せず笑っていた。
「実家って言ってもうちはマンションだし、狭いからねー。目指すは流行りのミニマリストだよ」
実際その後、家に呼んでもらったときは驚かされた。家族みんなで住んでいるなんて信じられないほどの狭隘な居住空間には、確かに必要最低限の物しかないように見えた。
華やかなショップで耳にした理沙の堅実な発言は、大袈裟でもなんでもなかったのだ。
わたしだって今や狭苦しいワンルーム住まいなのだから、理沙の買い物の仕方を見習わなきゃいけないのだけど、大学二年目も終わりかけだというのに、その自覚はまだ芽生えないでいる。
一つには自室に滞在する時間が短すぎるという実態があるのだと思う。
家探しのとき母に指摘された通り、昔からわたしは家でじっとしていられない質で、いったん朝出かけたら夜になって寝に帰るまで留守にしているのが普通なのだ。
家にいる時間の大半はベッドで眠っているから、部屋で意識をもって過ごした時間は、住み始めてからの通算でも大した量にならないはずだ。
これではこのワンルームに体が慣れないのも仕方がないという気がする。
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