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あの頃、目に映る世界はキラキラした夢で溢れていた。
それこそ、一つに絞るのが難しくて両手から溢れるくらいにたくさんの“夢”を持っていた。
「まま! みはるね、おおきくなったら、ケーキやさんになる!」
「あら、どうして?」
「ケーキをいっぱいたべられるから!」
「ふふ……じゃあ、お菓子の作り方をたくさん勉強しないとね」
夢を見続けていればいつか叶う。頑張れば報われる。
そう信じて疑わなかった。
けれど、世界はそんなキラキラしたものではなくて、幸せな未来なんて夢見るだけ無駄。
ここは御伽噺の世界ではない。
ただの、薄汚れた現実世界だ。
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