5-4.生 ※※

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5-4.生 ※※

 瑠璃宮に住まう主人も勤める使用人達も落ち着いて来たところで、宮に夜伽としての召命がかかった。  宮の主は浮かない様子だが、使用人連中としては気持ちが華やぐ。水の神官としては、最も力を入れて、準備しなければならない。  湯殿で側仕え達に綺麗に洗われた後は、水の神官の手に任される。主が一番苦手とされる”清め”は手早く済ませた。どうしても不快感を伴う処置のため、主の顔色は悪くなってしまっている。出来るだけマッサージを繰り返し、血の巡りを良くするように務める。    少年宦官は首尾よく主の身体を整えていく。  マッサージ後の肌に真珠を砕いた粉を振りかけた。白い肌にその上品な光がよくお似合いになる。肋が浮いている影がましなようにも見える。しかし、元々細い体がさらに儚くなったような、このまま透けてどこかに言ってしまわないかと見る者の不安を誘うような感じがする。  体術などもされて少しずつ体力をつけるようにされているにも関わらず、腰などは少し痩せてしまっている。  侍従長が老医師に何度も宮様の体調について相談していたが、宮様は食欲旺盛とは言えず、無理に進めると逆に悪心で床に伏せって一層食べれなくという悪循環に陥ってしまわれていた。厨房を預かる木の神官も頭を抱えている。  宮様から勘気を買ってしまったあの夜からは、宮様は従順に少年の言うことを従うようになったが、掴み所も無いような表情を浮かべるだけになった。性器に触れてもなすがまま風情である。  少年は準備を終えると、主の四肢を上から下まで確認した上で少し考えて、あまり身体の線が出ないような夜着を選んだ。それをゆったりと着付けて送り出す。 ========  ラーグは苛立っていた。  夜伽役が侍ってきてもその存在を無視し、酒杯を傾けながら読んでいたのは、瑠璃宮の侍従長からの日々あげられていた報告書だった。  一年で最も面倒な催事の多い天中節の準備も重なって、報告書を受け取っても放置していた。夜伽に呼んだのもあって、そういえばと纏めて、事細かに書かれた報告書に目を通し始めたのだった。  四人目の宮となった瑠璃の宮について侍従長が懸念事項含めて書いて寄越していた。全般的には落ち着いて生活している事、特に座学については老師たちが感心するほど熱心に学んでいる事が記されていた。しかし、一向に生活の範囲が広がらず殆ど室内で過ごしがちだと。室内においてもほとんど動くこともしない事、気分が塞ぎ込みがちである事、何より日に日に食事を摂らなくなってきており、体重が落ちてきている事が記されていた。  ラーグが無視しているために床に両膝をついて頭を下げたままの白金の頭をみる。カウチに身を預けているラーグからその表情は伏せられて見えないが、また呆けた顔をしているのだろう。  ラーグが自分を見ていることに気づいたのか、身動ぎをして、深く頭を下げ直す。 「そこで脱げ」  命じると一瞬身を固くしてから、羽織っていた夜着を肩から落とした。元からではあるが、骨の出っ張った肩のライン。  頭を掴んで立ち上がらせた。  上げられた顔の中で異様に目立つ濃紺の瞳は、ぼんやりとした光しか宿していない。好きにしてくれといった投げやりな風情だ。確かに肩の線や腰の辺りが更にやつれた様に見える。 「食事を摂らないのは何故だ?」  急に食事の話になったことにキョトンとして、ラーグを見る。その皇の言葉に反応しているかのようで、おざなりな目に余計に苛立つ。 「食えん料理を作る者は不要だな。挿げ替えるか?」  その言葉にはピクリと反応する。人の進退に関わる事であれば反応するらしい。  これは皇国への反抗(ハンガーストライキ)のつもりなのか。いや、そんな気概もない目、ただ虚無に浸っているだけの目だ。  これを見ていると癇に障る。腕を掴んで寝台に突き倒した。薄い身体は簡単に突き飛ばされる。  ラーグも寝台の上に上がりながら、仰向けに転んだ足首を掴んで、身体を開かせる。足も枯れ木のように軽い。  片脚を掴んだまま、そのまま後孔に陽根を突き立てた。一気に根元まで突き刺す。悲鳴混じりのうめき声を上がった。  貫通でしなって突き出された乳首には容赦なく歯を立てる。痛みからか逃れようと身をひこうとするのを腕で締め付け、より深くまで穿ってやった。 「っひ、ぐ、んあっ!…ぐ」  ラーグとは体格が違うため、いくら慣らしたとしても痛みを伴う行為だろう。しかし、そこそこ仕込まれて来た身体はそれだけではなくなってきているはずだ。いつまでも一方的に蹂躙されている被害者面をするつもりなのか。 (引き摺り落としてやる)  中を抉るように動かすと嫌々とする様に腰が揺れる。  身体が小さいから前立腺(そこ)にはすぐに行き当たる。特に狙って突かずとも抉ることは容易だ。しかし、場所を定めて、そこを突き上げる。そうすると背が跳ねて、腸壁が蠕動は起こす。 「ん、あっあ…」  そして苦痛だけではない甘い声が混ざり始める。それを隠すように夜伽役は自分の腕を噛み締めて、声を押し殺そうとする。 「もっと啼け」  噛み跡のついた腕を外させ、頭上に固定する。遠慮せずに蕾が捲れ上がる程の中心を引き抜いて、一気に前立腺を潰すようやな奥まで捻じ込むとひときわ高い声で啼く。 「ああーっ!あ、はっ、ぁ…」  逆に虚無から引き摺り出すために、次はじわじわと腸壁をごりごりと浅い動き擦ると、伽役の白い陰茎が透明の淫水をこぼす。 「あ、ぐっ、あ゛あ゛ーーぃ…」  ようやっと身体が伽らしくなってきたらしい。  ラーグは身体を貫いたまま身体を反転させて、四つん這いにさせる。どうせ伽役(これ)は脆弱で、すぐに足腰立たなくなる。膝が立たなくなったら寝台に転がして扱えばいい。膝が立つうちに後ろから穿った。  両腕を掴んで、身体を逃がさない様に引き寄せる。これなら敷布に顔を押しつけて声を殺すこともできないだろう。のけぞらせて、後ろから打ち付けると、切れ切れの啼き声が上がる。 「ひ、ぁ…あ゛ぁっ、ぐ」  天幕が張られた閨には身体がぶつかる音と粘着音、そして伽役の呻き声が響く。苦しみ混じりの嬌声がラーグの嗜虐心に火をつける。今、誰に責め苛まれているのかを身体に分からせるために、突き上げると一番反応する部分ばかりに切っ先当て続ける。 「っあーーーっ、あっ、****」  母国語を叫びつつ、逃げようとのたうつ身体を腕のなかに拘束した。母国語は思わず口をついて出たのだろう。ラーグも一通りの北方語は習得している。北方語で拒絶の言葉を吐いているようで、まだまだ躾が行き届いていない。  貫いたまま抵抗する身体を起こさせ、首に腕をかける。逃げようとしたら、腕に力を込めて締め上げるために。ラーグが強く力をこめたら、窒息するか、それより前に折れてしまいそうなほど細い首だ。  苦しいのか締め上げる腕に縋っているのをいいことに、グラインドを繰り返し、欲のままに熱を注ぎ込んだ。  体内に叩きつけられる飛沫に反応した身体が痙攣する。四度目になり、身体が覚え込んで来たのか熱を貪欲に飲み込もうと、体内がきゅうきゅうと締め付けて来る。ぴくぴくと身体を痙攣させる姿は強烈な色香を放つようになっていた。  しかし一度精を受けただけで体力を使い果たしたらしい身体は、ラーグが腕を外すと、どさりと寝台に崩れ落ちてしまう。勝手に倒れたせいでラーグの陽根がずるりと抜ける。  たった一度放っただけでは欲は全くおさまることのない。不甲斐ない伽役は寝台に倒れこんだまま、動けなくなっている。皇の陽根を吐き出した蕾は力なく開いたままで、白濁液をこぽりとこぼしている。  伽役であれば皇の欲がおさまるまで何度でも欲を迎え入れるために身体を差し出すべきだが、この北方人はそれを全うすることが出来ないほど虚弱だ。  敷布に突っ伏したままの少年の腕をとり、仰向けに転がす。正常位で受け入れられるように脚を広げさせ、腰に熱を押し付ける。  ラーグを見上げる濃紺の瞳が揺れている。 「勝手に寝るな。お前の役目は何だ?」  押し付けた熱から、まだ役目が終わっていないことを悟ったらしく、震える声で答えてくる。 「…皇の…夜伽で、ございます…」 「ならば、我を満足させられる体力をつけろ」  ラーグの熱が発散されるまで付き合うのが夜伽の役目だ。
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