10-2.永の夜 ※

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 ルクレシスはそのまま寝台に押し倒される。噛み付くような口づけで口内が蹂躙される。片手で乳首をひねり上げられ、もう片手で房を引かれる。悲鳴すらも皇に食われて、皇は身体の下で暴れる四肢を易々と押さえ込んでくる。 「後、いくつ入っている?」  皇の問いにルクレシスはふるふると頭を降る。後幾つ体内に入っているか本当に分からない。強すぎる刺激を与えられ続けて、下肢の感覚がもはや飽和してしまっている。  出来ればもう終わりにして欲しい。耐えきれない涙が落ちる。  だが、まだ許されるはずもない。 「だんだんと物足りなさそうになってきたな。」  皇が玉を吐き出して、ぱくぱくと戦慄く後孔を揶揄すると、そこに剛直を宛てがってきた。  まだ体内に幾つも入っている。そこに皇の陽物を挿入されたら。 「!やめ、許し…あ、やめて、やぁー」  皇の意図を察したルクレシスは訓練で散々と罰を受けてきた反抗の言葉を口走ってしまう。  しかし皇は斟酌せずに怒張の先を割り込ませてきた。ぎちぎちと音が聞こえてきそうなほど口が開かれて、皇のもので蕾まで降りて来ていた玉がまた押し上げられ、そのまま揺らされる。 「ひ、ぎ、ぁー…あ、やぁーー」  目の前に火花が散る。あまりのきつさと直腸を超えた部分までこじ開けられそうになる痛みに初夜の恐怖が一気によみがえる。  濃紺の目からは恐怖と苦しみの涙が落ちるままになる。  ラーグは溢れ落ちる雫を舐めとりながら昏い満足感を味わう。ルクレシスの喜怒哀楽、全てを支配するのは所有者である自分だ。黒曜や赤水と親しくなるのは構わないが、自分に見せない姿を彼らに見せるのは不愉快だ。赤水とは外遊びを愉しんできたことを思うと、自分で許可をしておきながら悋気に駆られる。  だが、今壊したいわけではない。 「最初からあまり苛むと後が続かぬな」  ぐったりとした肢体にさすがに苛々に任せて手酷くしている自覚はあるので、一旦は怒張を引き抜く。  そもそも中の硬物がラーグの亀頭に当たって、快楽にならない。玩具が入ったまま根元まで挿入したら、壊れることが明白なので、そこも加減しなければならない。肴になるのは、その表情だけだ。  邪魔になった性具を引っ張りだす。 「っふ、ぁ…」  弱々しい声と共に体内に残っていた水晶球が顔を出す。一番大きい部分がまで来るとつぷんと吐き出される。  玉一つ一つはそれ程の大きさもないが、粒揃いの宝玉が絹糸で繋がれている。なかなかに悪趣味だ。 「また凝ったものを持っているな。」  責め苦が止んだことで呆然としながらも、息が落ち着いてきた瑠璃の宮が心外だという表情を浮かべる。 「…私の持ち物では…」 「お前の宮の収支で購入しているなら主であるお前の持ち物だろう。」  唖然とした表情で性具を凝視している夜伽役の片足を掴んで寝台に仰向けに転がす。 「玩具はいい。せいぜい自分の役に励め。」  脚を開かせると朱い革紐に根元を戒められた陰茎と玉によって搔き出された香油がしたたる後孔があらわになる。  反射的に閉じようとする内腿を許さずに、身体を割り込ませ、改めて怒張を挿入する。蕾がきつく締め上げてくる。  必死にラーグの陽物に抵抗する隘路に、強引に腰を打ち付ける。狭すぎて、ラーグが狙わずとも性感帯全部を擦りあげること出来る。 「今日は粗相する心配もあるまい。存分に啼け。」  容赦なく蕾と腸壁を亀頭で抉る。先ほどまでの痛みで上げていた悲鳴とは違う、押し殺していても分かる程陶然とした啼き声に変わって行く。 「んっあっ、ひぁっあん!」  緊張で固かった中が次第に熟れて柔く溶けてくる。 「は、ぁ…あ、あ、ひ、ぁ…あふ…」  暑い陽の季節でラーグの身体から汗が浮かび、滴って、組み敷く身体にぱたぱたと落ちる。ただそれだけでも熱がこもった夜伽の身体は敏感に反応し始める。  快楽を忌避してきた身体が全身性感帯になって、啼いている。 「ぃ、は、苦し…痛ぃ…は…」  ささやかな陰茎には革紐が食い込んで、精を吐き出せない苦しみに悶えている。 「ぁ…やっはずして、痛ぃ、やだ、出したいっ痛いーー」  頭の中が吐精でいっぱいになっているのだろう。革紐に自ら爪を立てて、外そうとする。無論、赦すはずも無く、両手首は敷布に押さえ込む。  そして、ラーグは更に追い上げるように腰をぶつける。熱も限界まで高まって、体内にその熱を発散する。 「あー!ぁ、あー!」  ラーグが慾を吐き出すと共に白い喉がのけぞって高い嬌声をあげ、これまでにない力で四肢が痙攣する。腸壁も鼓動するようにどくんどくんと蠕動し、ラーグの残滓を飲み乾すかのようだ。 「出さずに気をやるとは、器用だな。」  革紐はそのままだ。  ラーグは力を失った肢体を串刺しにしたまま反転させて敷布に伏せさせる。ここ数夜は天中節ということで存分にとは行かなかったために、一度放っても気が高ぶったままである。  崩れ落ちそうになっている腰を引き寄せると、そのまま律動を繰り返す。ぐったりとしていた身体が刺激に反射的にしなる。不安げに宙をかく身体を胸に引き寄せて、幾分先ほどよりはゆっくりと掻き回す。  夏至の日の異様に大きく見える月が寝台を照らしている中、白い身体に飽くまで精を注ぎ込む。  疲労を感じたラーグが動かなくなった痩身を引き寄せ、微睡むまで。
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