2-1.作法 ※

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2-1.作法 ※

「ゆっくりと息を吐いて下さいませ。」  息を一気に吐いたら、そのまま我慢が途切れそうで、必死で少年宦官に言われるように細く息を吐いていく。  夜伽が皇よりも先に精を出すことは最も良くないということで、閨房作法の時間が再開になってからは、精を放たずに耐える訓練になっている。  少年宦官がルクレシスの陰茎を手淫で愛撫し、後孔も指で刺激をしてくる。わざと前立腺ばかりを弄ってくる。そして、ぎりぎりまで高めてルクレシスに耐えさせる。 「はっ、くっ、ぅ」 「息を止めてはいけません。息を吐いて熱を逃すと楽になりますよ。」  息を詰めて身体に力が入る程、吐精しやすいため、ゆっくりと息を吐いて力を抜くように何度も声をかけられるのだが、切羽詰まってしまうと余裕がなくなり、少年に根元をきつく絞めつけられる。 「いた、ぃ…血、溜まって、ぃたい…」  頭も沸騰している。  少年の根元に絡まる指を思わずがりがりと引っ掻いて外させようとするが、少年は一向に許してくれはしない。 「宮様、あと五分はご自身で我慢なさって下さい。そうしたら、悦いところを存分に愛撫して差し上げますから。」  少年は出来るだけ優しい声で宥める。 「指を外しますからね。力を抜いて下さいませ。」  根元を締める事なく自力で我慢する事を強いられる。後孔の壺に指を添えられ、胸の突起を少年の唇で喰まれる。徐々に指動きが容赦なくなってくちゅくちゅと水濡れの音が立つ。真っ赤に色づいた乳首も舌で転がされ、時折歯を立てられ、刺すような痛みに背を仰け反らせる。一瞬でも気を抜いたら放ってしまいそうだ。  もしルクレシスが失敗したら、罰が与えられる。それは鞭等の痛みではなくて、ルクレシスが最も嫌な羞恥を強いるものだ。  罰が鞭打ちなら、既に吐精していたかもしれない。痛みの方がましと思うほどに忍従することはきつい。 「ひ、ぁ、はっあ…」  気を紛らわそうとしても巧みに様々な場所を弄られて翻弄される。 「や、ぁ…は」  これまで皇は瑠璃の宮の吐精については甘く、咎めなかったが、夜伽の大原則は奉仕する主人より先に吐精しないこと、自分が快楽に耽ってはいけないのは当たり前だ。そして、吐精には目上の者の許しを得なければならない。  それを徹底的に覚えなければいけない、と。 「いきそうになったら、仰ってくださいね。一度止めますから。」 「宮様、きちんと御言葉にして頂かないと罰をお受け頂かなければなりませんよ。」  もちろん五分我慢出来れば口にしなくても良いのだが、ルクレシスはもうすでに限界まで追い詰められている。 「ふ…ぅ、ん…い、きそ、ぅ、…です…」  散々言いたくなくて耐えて来たが、これ以上刺激されたら我慢できない。手を止めて欲しいけど止めて欲しくない。  必死でこれまで言えなかった言葉を紡ぐ。すると前立腺を刺激していた手がぱっと止まる。 「よく仰って下さいました。これからも吐精の前には必ず仰って下さい。」  ぎりぎりまで高められた性感が中途半端なところで止められて内に燻るのに必死に耐える。  ルクレシスを苦しめる少年もこの訓練がひどく辛いということは身をもって知っている。痛みを与えられる訓練も嫌なものだが、精を放つことを戒められる訓練こそ、心身に酷い負荷がかかって辛いものだ。ただ最も慣れてくると甘い声を出しながら“今日の夕飯”など、てんで違うことを考えてやり過ごすことが可能にはなる。しかし主にはそのような演技的な技は覚えて頂きたくないので、あまり無理は強いないように、と微調節しながら我慢する感覚を覚えて頂くのだ。 「さぁ、あと丁度半分でございますね。」  再び性感帯への刺激を始められた。 「っんあっ、ゃあぁぁーーー!」  結局、ルクレシスは今日も耐えられなかった。 「で、これをつけられたわけか。」  吐精に耐える訓練を終えることなく、皇の寝所に侍ることになってしまったルクレシスは、皇に嗤われる。ルクレシスの鈴口には粗相をひないように銀の棒が栓として差し込まれていた。  皇が戯れのように先端の突起部を摘んで引っ張る。容易に抜け落ちないようにくびれの細工がなされているそれは指先分程出て、引っかかる。 「っひ、ぁっ、あっ」  続けて押し込まれ、尿道を削られる感触にルクレシスは泣く。  狭いそこへの器具の挿入は震える程の恐怖だった。動くと内臓を傷つけるので、と四肢を神官達に押さえつけられて、尿道を侵されたのだ。酷い痛みだった。固形物が通るように出来ていない管を無理矢理開かれたのだ。  挿入されて暫く経つが、一向に馴染まず異物感が酷い。それを抜き差しされて、ルクレシスの目には滂沱の涙が浮かぶ。灼けつくような痛みへの生理的な涙と、そこを裂かれるのではないかという恐怖からの涙だ。 「っひ、ぎ、っっいっ」  そのせいで陰茎は棒を含みながら完全に力を失っていた。 「我を満足させたら外してやろう。」  皇が嗤い、ルクレシスは寝台へと誘なわれた。  既にルクレシスの精神は早く楽にして欲しいと完全に屈服させられている。更に寝台に登る前に情けを乞う決められた口上によって皇に自ら服従を誓う。  ルクレシスは慎重に寝台に上がる。  そして、前戯として口で陽物に触れる許しを得て、皇の下腹部へと顔を埋めた。舌で絡めて、口蓋に先端を擦り付けるようにすると皇のものが質量を増していく。上手く出来ていることに安堵する。 「足を開いて、腰を上げろ。」  ルクレシスの髪を弄りながら、皇がそう命じてくる。逆らえるわけもなく、口に含みながら、両脚を開いて腰を上げた。  不意に両脚の間から垂れる陰茎を掴まれた。驚き、口淫の口に力が入ってしまう。 「歯を当てたら分かっているだろうな。」  ルクレシスは急所を握られている恐怖と、うっかり口淫で失敗してしまう恐怖で動けなくなってしまう。 「続けろ」  皇の言葉でルクレシスは慌てて舌を動かすが、陰茎への刺激に気が散っていて全く集中出来ない。 「真面目にやらねば、終わらぬぞ。」  皇が性具の先端に指をかけて強引に引きぬいていく。ズルズルと抜け出る感触に陽根を含んだままくぐもった声を上げ、腰がびくびくと跳ねる。  棒はそれ程長くはなく太さもごくごく初心者用のものらしいが、あり得ない刺激と恐ろしさにルクレシスの目の前がチカチカと明滅する。夜伽役に斟酌する必要のない皇はギリギリまで引く抜いては、萎えた陰茎に再び凹凸のくびれのある棒を差し込んで行く。その容赦のない動きに、灼けつく痛みに耐えられずに陽根を吐き出して悲鳴をあげてしまった。 「ひ、あー、ぁ、ぁ、ぃーぁ」  肩で息をついて必死に痛みを散らすが、皇は容赦なく陰茎を苛む。だが、許されない。皇に髪を掴まれ、顔を上げさせられ、喉奥まで怒張を突き立てられた。  痛みと窒息するような苦しみと、もろに嘔吐中枢を突かれてえずくルクレシスの顔は涙と唾液でぐちゃぐちゃになった。  皇は反射的に締まる喉奥で奉仕を強要し、性具で尿道を犯す。一層、皇の陽根は質量を増していき、ルクレシスは喘ぐ。  皇が好きなように動いて一際高まって、咥内に精液を放つ。ルクレシスは噎むせながらも口の中のものを必死に飲み下す。これだけは失敗する訳に行かないと身体に覚え込まされている。 「次は?」  荒い息を整えるために蹲っているルクレシスを眺めながら皇が酷薄な言葉を投げてくる。  満足にはほど足りない、と皇に次の奉仕を求められた。  ルクレシスは息も整わぬままのろのろと起き上がると四つん這いに戻って、皇の下肢に差し出すように腰を上げた。 「表を向け」  しかし背面からの挿入は気分ではなかったらしく、仰向けで身体を差し出すことを求められる。  ルクレシスは向き合った姿勢が苦手だ。四つん這いの恰好もあられもないが、敷布に顔を埋めていれば羞恥から顔を背けていられる。仰向けだと皇の黒曜石のような瞳の前に醜態を晒していることを知ることになるからだ。  それでもどんな痴態を今更晒そうとなんでもない事だと自分に言い聞かせながら、羞恥心を押し殺して一糸まとわぬ身体を晒す。  しかしそれだけで許してもらえるはずも無く、無言の圧力でゆるゆると脚を拡げる。 「早くしろ」  ルクレシスの葛藤や羞恥に皇は苛ついた風情だ。何とか腰も上げて、自ら尻肉を指で開いて見せて後孔を晒す。水の神官にそうするようにと教えられたように。 「…情けを、く、ださ、い、ませ…」  目を固く瞑り、やっとの事で口にした。  乱暴に引き寄せられると、準備で解されているとは言え何の馴らしも無く陽根を突き入れられた。今まで前に感覚を持って行かれていた分、後ろに与えられた圧倒的な質量に息が詰まる。体内を熱い怒張で遠慮なく掻き回される。  痛みに萎えていた陰茎に血が充血し始める。陰茎は腸壁から前立腺を刺激されることに慣れすぎている。しかし、勃ち上がれば勃ち上がる程に尿道の異物感が増す。痛みと快楽が混じる。どろどろに混じり合って、感覚が痛みなのか快楽なのかも分からなくなって行く。  皇は鈴口の性具を弄びながら、注挿を繰り返す。ルクレシスの口からは悲鳴と喘ぎともつかない啼き声がひっきりなしにこぼれっぱなしになる。  性具を動かす毎に体内が痙攣を起こして、陽根を強く締め付けてしまう。それが皇に快楽を与えるらしく、熱い飛沫が勢いよく体内に放たれた。その脈動と熱さに、いつもならルクレシスも高みに上がれるのに、陰茎を戒める責め具で行き場を失って茫然としてしまう。 「まだほうけるな」  皇から身体を揺さぶられて正気に返らされる。そして、そのまま陰茎の銀棒が一気に引き抜かれた。 「ぎっ!ひ、ぃあっひっ」  目の前が真っ白になるような痛みが身体の中心を走って、身体が跳ねる。   そして、再び硬度を保ったままの皇のものが体内を無遠慮にかき混ぜ始める。痛みのせいで後孔の感覚が鈍かったが、皇は執拗にルクレシスの悦い所ばかり責めてくる。まだひりつく痛みを残しながらも、節操なくルクレシスの陰茎は涎を零し始める。 「何と言えばいいか、分かっているな。」  皇の声が頭を真っ白にして意識を飛ばそうとしているルクレシスを引き戻す。 「あ、ぁ、はっ、ぃき、いき、そうで、す。んぁっ、お許し、をっ」  まだ1度も達していないルクレシスは早急に追い上げられて、恥じも外聞もない恥ずかしい言葉で許しを乞う。 「近頃、甘やかしていたからな。我がもう一度放ったら許そう。それまで我慢しろ。」  追い上げられすぎて限界の所で許しを乞うたにも関わらず、非情にも更なる忍耐を強いられる。 「や、で、ちゃぅ!は、んっ」  これ以上一分だって我慢出来ない所まで追い詰められているが、粗相を今回は許しては貰えないだろう。思わず自身の手できつく根元を締めあげた。 「手を使うな。練習したのではないのか?」  皇が「あぁ、及第点が取れずに尿道を塞がれたのだったな」と呆れたように嗤う。必死で頭を振って、手で抑制することだけは許して貰う。  痛いほど根本を握りしめてどれほど我慢をしたのか、皇の熱が体内爆ぜた瞬間にルクレシスも熱さに焼かれて熱を放った。
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