2-2.不安 ※

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「今日はやけに素直だな」  殊更に従順に振る舞う伽役にラーグは殊勝な心掛けだと嗤う。  ラーグの上に乗った身体を下から突き上げると奥がきゅうきゅうと戦慄き、甘え声で啼く。  普段は上に乗せられるのが嫌なようで身を捩らせて逃げようとしたり、両腿に力を入れて最奥まで飲み込まないようにし、衝撃を逃すように腰を浮かしているのに、今は揺すられるがままになって貫かれる苦しさと擦られる快楽の混じった悦い声で啼いている。  もっと啼け、と両脚を拡げさせ、膝裏を掴んで軽い身体を持ち上げる。そして宙から落とす。 「あっん!」  落とした瞬間に後孔の一点で全体重と衝撃を受け止めることになり、その衝撃で高い声を上げる。そのまま続けて持ち上げては落とすを繰り返した。  引き抜くと先に流し込んだ白濁液が漏れでて、ぶちゅっぶちゅっと空気を含んだ淫靡な音を響かせる。引き抜く時には名残惜しげに内壁が絡みつき、落とすと衝撃で後孔全体が痙攣を起こして締め付けてくるのがいい具合だった。後孔を嬲られて快楽を感じているらしく後孔を圧迫されるのに合わせてルクレシスの性器からはだらだらと白濁液が垂れている。 「んんっぁふ、あ…」  強い衝撃を何度も与えられて、夜伽の瞳は陶然として焦点が合わなくなって来ている。 (そろそろ限界か)  体力と耐力共にないこの夜伽役の意識レベルが落ち始めたのが分かる。  後孔に怒張を埋めたまま、ルクレシスの身体を反転させて敷布に四つん這いさせて背面から追い上げることにした。  腰を掴んで遠慮なく達するための注挿を始めると、この夜従順だったルクレシスが嫌々をするように身体を捩って後ろに膝立つ皇に腕を伸ばす。  濃紺(ランスルー)の目が不安に揺れていた。身を捩って必死に皇の身体に手を伸ばしてくる。  ラーグは縋る瞳に仕方ないと、後ろから上体を抱き上げて、膝立ちさせる。上体に腕を回して抱き込むと頤を掴んで、口付けを落とす。  従順に必死に、ラーグの舌に自分のものを絡めて口付けに答える。抱き上げている手で赤く立ち上がった乳首を柔く撫ぜ、時にきつくつぶす。 「ひぁん…はぁ、あ…は、気持ち、ぃい…」  痛くされた後に優しくされるのが悦いらしい。  ラーグの中心も先から散々に煽られてきている。後ろから抱えているせいで少々動きづらいが下から腰を打ち付けて、激しく中を穿つ。  二回りは小さい肢体の最奥に精を流し込む。陽根がどくんどくんと脈打つの合わせて、後孔がもっとと強請るような蠢きで貪欲に皇の寵を搾り取って来た。  ラーグは一息つくと心地よい倦怠感を感じながら、陽根をずるんと引き抜く。夜伽は気を失ったようで、そのまま膝から崩れるように敷布に倒れる。  皇のものを咥えていた蕾は華開いて白濁液をどろっと零している。  本来は伽役が残滓で汚れた皇の中心を口で清めるか、濡れた布で拭き清めるのだが、この夜伽はそこまで役目を果たせたことがない。代わりに神官がやって来て皇と夜伽の残滓を手早く拭っていく。  別の者は手際よく役を終えた伽役の後孔に海綿を含ませて始末していった。    細い身体を引き寄せ、大分と長くなった髪に指を絡ませて感触を楽しむ。 (怯えるだけかと思えば、妙に肝が座っている。と思えば、不安に陥る…)  ラーグに全て依存して頼ってくることしか出来ない弱々しい存在のくせに、自分の(ごう)を引き受けるという。ラーグの(ごう)も引き受けるのだと、その身を差し出す。その一方で何を考えているのかすぐに不安に陥って、碌に食事もとれなくなる。  今は何の思いに囚われているのか。  意識のないルクレシスが皇の胸板に額を擦り付けて、寝相を直して、すぅすぅと寝息を立てている。 (我に頼れ。我だけを見て、我だけを求めていれば良い。)  そうすれば可愛がってやろう。  冰()への行幸まで1ヶ月を切った。黒曜は政務のために皇都に残さねばならないし、紫水は元より皇の側を離れることはない。赤水を軍務がある。  瑠璃の宮(これ)は身体が弱いことが難だが、輿にのせているだけなら、体力の如何も問題にならないだろう。  これが居ればラーグも長い移動時間の暇つぶしにもなる。
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