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ガレキにまみれた場所
ゼェハァゼェハァ。。
息も絶え絶えに私は歩いた。
この場所に合わない底の高いハイヒール。。
私、中野愛夏。17歳。
小柄で運動音痴だ。猫が大好きで飼いたいと思っていた。
良く人から言われる印象としては、繊細で優しいらしい。それが当てはまっているのか、どうかは、私にはわからない。
見渡すと、この場所は瓦礫の山で溢れかえっていた。
この場所はよくある風景の中に、溶け込んでいるが、ここだけに違和感を感じる。
他の場所は令和の現代と良く似ている世界であるにも関わらず、瓦礫の山と化したこの場所だけは、昭和の初め頃なのか?それよりも前の時代なのか。
ココだけが時代遅れな感じがする。
ーー私はなぜここにいるんだろう。
それもこんなに高いヒールで。ーー上の方からネコの声が聞こえてくる。
ーーにゃー。
こんな瓦礫の場所に一匹の猫が鳴いている。
それを放っておいて、帰れる訳がないだろう。
おそらく積もった瓦礫の上で、鳴いているだろうネコを探しに、私は歩いた。
人生で初めての赤いハイヒールを履いて。
私を呼ぶようなネコの声はするけど、まだその姿は確認出来ていない。
そして、私はなぜこんなにも明るい赤いハイヒールを履いているのか。
それは考えてもわからなかった。
まだ暗いこの場所にも、いずれ光が差すはずだと信じて。。
ーーそうだ。あのネコちゃんだ。
ーーその為に私はこの険しい瓦礫の山を歩いていたのだ、と気づいた。
なぜ、こうなってしまったのか?
なぜ、ここにいるのか?
それは分からない。
ただ一匹の猫の安全の為に、私は猫のいる場所へと向かっていた。
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