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異変
真白が来てから2日たった今、俺にはある問題が発生していた。
真白が来る前日から、丸4日。全く眠っていないのである。
最初の2日間はまだ眠気が定期的に訪れていたのだが、目がかなり冴えてしまい、睡魔に引き込まれる感覚が不快でなかなか寝付くことができなかった。
ならば限界が来るまで仕事でもしていようとパソコンに向かえば余計眠れず、そのうち眠気も来なくなり、自己最高記録の4徹を達成した。
寝れないが思考ははっきりしていて、寧ろいつもより集中できて仕事もはかどっている。
翻訳は、海外はそもそも日本と考え方や文かがかなり違う場合が多いので、英語をそのまま日本語に直すことは難しい。
なので、できるだけ同じ意味になるように日本語に直すのだが、日本人の感覚にすっとなじむものでないと、意味は理解できても何となく腑に落ちないということになってしまう。
特に今やっている小説の翻訳は、原作者の世界観や常識の違いが顕著なので、他の仕事に比べて時間がかかってしまう。
だが今は、適した言葉がスッと出てきて、まだ読み返していないが今までも最高の出来になっているのではないだろうか。
所謂、ゾーンに入った状況なのだろうか。
まるで小説の中の出来事をそのまま自分の目で見ているかのように、日本語の表現がするする出てくる。
ここまでの感覚は初めてだった。
早く。忘れる前に書き留めなければ。
パチパチとキーボードに文字を打ち込んでく。
嗚呼、面白い。世界中の沢山の世界観や原作者の気持ちを日本のひとにも届けられるこの仕事が、大好きだ。
作者の気持ちになって、作者が何を伝えたいのか、何を思って文を書いたのか考えながら翻訳するこの時間が大好きだ。
こんなに、集中して書くことができるなら俺は、少なくともこの仕事が終わるまで寝れなくても良い。
だから、もう少し、このまま書き続けたていたい。
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