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「もったいない」が口グセだった恵美の母はモノが捨てられない性分で、ゴミ屋敷とはいかないまでも久しぶりに開ける実家の押し入れの中には、よくわからないダンボール箱が無造作に積み上がっていた。
「うわ、なんなのこれ……」
決して片付け好きとは言えない恵美にとってそれは、いかにもうんざりする光景だった。思わず見なかった事にしてぜんぶ捨てたくなったが、それにしても中身をいちおう確認しないとまずいだろう。
「あーあ、めんどくさいなあ」
恵美はげんなりしつつも、いくつかの箱をひっぱりだして中をのぞいてみる。新聞紙にくるまれたストライプ模様の食器、黄みどり色のプラスチック製卓上電気スタンド、薄ピンクの花柄が描かれた炊飯器。なんだか昭和レトロとでもいった風情の品々が、ぎゅうぎゅうに詰めこまれている。
「あ、こういうの最近流行ってるみたいだし、ひょっとしてネットで売れないかな」
ちょっとしたお小遣いになるかも。そんな考えがふと頭をよぎったが、よくよく見ればどれも使い古されて状態はいまいち。ロクな値段になりそうもない。
「あーあ結局ゴミばっか? もうこんなにためちゃって、捨てるの大変じゃん!」
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