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スクーターをイス代わりにしながら何やら楽しそうにおしゃべりをするビーチサンダルの若い男の子たち、首に巻いた手ぬぐいで汗をぬぐいながら炒め物をする屋台のおじさん、首輪もリードもなく我が物顔で道路を堂々とかっぽする野良犬。その横をティーンエイジャーとおぼしき女の子たちが、仲良さそうに腕を組み暑い国らしくラージサイズのジュースを飲みながら、きゃらきゃらと通り過ぎる。
はっきりした赤や青、原色のプラスチック製イスに腰をかけタバコをくゆらしながら往来をぼんやりながめる小柄な老人の、足元は裸足だ。頭の上に大きなカゴを載せて何かを運んでいる、どっしりたくましそうなおばさんもいれば、どういうわけだかスクーターに生きたヤギ(!)をくくりつけて走り抜けていく人もいる。
とにかく、どこをとっても「アジア」らしいどこかコミカルで味わいのある風景に、おもわず頬がゆるむ恵美であった。
「Hi, I have a reservation.」
「Could I have your name please?」
中心地にあるホテルに着きチェックインを済ます。現地語ができない恵美はフロントで英語が通じて一安心、ホテルのグレードは高級でもないがそこそこのランク。
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