おじさんがくれたお人形

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 思わず棚に置いたココちゃんに目をやる。しかしココちゃんはうつむいて黙ったまま、何の反応もない。 「……お人形がしゃべるわけないか。伯父さんとか言っちゃってまじめに話しかけるとか、私やばいよね」  あるわけない事なのについ現実みたいに思っちゃう。妄想力の強さ小学生の時から変わってないなあ。もう高校生なのに変わらぬ自分の子どもっぽさに気がついて、思わず我に返る恵美。  ココちゃんの島で叔父さんに会った、あの時の記憶はどう考えてもただの夢に決まってる。小さい子って現実と夢がごちゃ混ぜになって、でもすべてがリアルだと思い込んじゃうんだよね。おそらくあれは大好きな叔父さんが死んだというショックで、叔父さんに会いたい一心で、幼い自分が産んだ幻影のようなものだったんだろう。  成長した恵美はずいぶん現実的な考え方をするようになっていた。「ココちゃんと伯父さんと不思議な島」のことは父にも母にも当時一生懸命に説明したが、二人ともあまりまじめに聞いてくれなかったというのもある。 「そうねえ恵美ちゃん、叔父さんに会いたいわよねえ。……でもそれは夢の中のことなのよ」 「ちがうよただの夢じゃないよ、あの島はほんとうにあるんだよ!」  なんとかわかってもらおうと子どもながらに力説したが、お母さんは少し悲しそうな顔をして恵美の頭を撫でるだけだった。
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