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突然、パパの声がどこからともなく聞こえてきた。すると二人で作った砂のお城は、急に冷たくなった海からの突風に吹かれてサーッと跡形もなく、崩れてしまった。私はココちゃんを見た、けれどそこにはもう誰もいなかった。
「ココちゃん、ココちゃん! どこ?」
あたりを見回せば、さっきまでたくさんいたきれいな鳥たちもみんなどこかへ行ってしまい、自分だけがひとりぽつんと取り残されていた。どうしようもない寂しさを感じて涙があふれ出す。涙はまっしろい砂のなかに次々と、静かに吸い込まれていくのだった。
気がついたら朝で、それはふつうの朝だった。ココちゃんは私の横でちゃんとねんねしてたから、私もほっとして学校に行った。
その日の夜も私はまた、ココちゃんといっしょに眠ってそうしてあの島にきた。ココちゃんもやっぱりいたからいっしょに追いかけっこしたり海に入って泳いだり。ああ、ここはなんて気持ちがいいんだろう!
「あいかわらずの変人ねお義兄さんは、家に出入りするところご近所に見られたくないわ。汚い所ばかり行ってるみたいだし、娘が変な影響を受けたら困るのよ」
どこからかママの声。でもそれはいつもの優しいママとはぜんぜん違う、トゲトゲがいっぱいの声だった。すると海から冷たい風が吹いて、鳥の声はやんでココちゃんもいなくなりまた、ひとりだけ取り残された。さっきまでの楽しさは一瞬にして消え去り私の胸はふさぎそして、真っ暗になった。
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