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「そんなこと言ったって、兄さんには帰る家がないんだから仕方ないじゃないか。実家は俺が継いでるわけで、でも俺だって困ってるんだぜまったく」
「だったらもっと、強く言ってくださいなあなたの口から」
「言ってるさ! でもあの調子で、いつものらりくらりと交わされちまう。俺ばかり責めるな、そんなに嫌ならお前が言え!」
「そんなの無理にきまってるじゃない! あたしからは意見なんてできないわよお義兄さんに向かって」
私には意味は全部はわからないけど、とにかく伯父さんがすごく嫌われてるのがわかってそしたらお腹がキュッと縮んでチクチクした。すると突然あたりが暗くなって海から冷たくて強い風が吹いて、すごく高い波が生き物みたいにこっちに向かってくるのが見えた。
波は仲間を集めるみたいに横に広がってお山みたいにどんどん背を高くして、早足でずんずん近づいてくる。私は怖くて座ったまま動けなくて、そしたら波は大きな口をガバっと開いてガブリっと私を飲みこんだの!
「きゃぁぁぁぁ」
私はもうびっくりして飛び起きた。泣きながらママを呼ぶ、そうしたらいつもの優しいママが走ってきて抱きしめてくれた。私は温かくなった、けれどお腹はまだ、キュッとなったままだった。
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