怪しい目線

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 しばし二人で黙々と食べた。  ドリンクを飲もうとして一度パンケーキから顔を上げた時、ふと間宮さんのほうを見ると彼はいつのまにか食べる手を止めていて、なぜか険しい面持ちを顔に浮かべながら周囲にキョロキョロ視線を走らせていた。 「どうかしましたか?」  私が声をかけると、彼は我に返ったというように肩を一度大きく震わせた。それからゆっくりとこちらにむき直って 「いや、なんか視線を感じて」 「視線ですか?」 「ううん気のせいかな……誰かがこっち見てる気がしたんだよね」  間宮さんにしては珍しく歯切れの悪い言い方だった。どこか表情もぎこちない。 「はあ」  私もなんとなく周りを見渡してみたけれど、パンケーキに夢中になっていたり話に花を咲かせたりしているお客さんたちばかりで特に気になる点はなかった。  ――というか。  間宮さんが人目を惹いていたんじゃないだろうか。女性ばかりの店内で、体格のいい彼が座っているだけでも結構目立つ。そこそこイケメンだし。  などと考えていると 「あれ、やっぱり鈴代さんだった!!」  背後から急に甲高い声が聞こえてきたのと、間宮さんが殺気立った目をしたのが同時だった。  私はその声と、彼が表出した殺気にガタタッと椅子が音を立てて揺れてしまうぐらいに驚いた。慌ててうしろをふり返る。 「あ、ああ……草川さん」  大学で同じ教養の授業を取っている草川さんが立っていた。仲がいいというわけではないが、時々ノートを見せあったりはする。 「こんなところで会うなんて思わなかったよ。偶然だね。もしかしてデート?」    彼女は私と間宮さんを交互に見ながら聞いてきた。  
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