深夜、病院にて

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 談話室に上遠野さんを残し、私は間宮さんと病室にむかった。  相部屋だったけれど幸いなことにほかに入院患者はいなかった。  私は今しがた上遠野さんから聞いた話が真実かどうかを間宮さんに尋ねてみた。  間宮さんには妹さんがいたこと。もう亡くなっていること。 「当時うちとシマを争っていた組との抗争に、俺は妹を――春を巻きこんでしまった。まだ高校に入学したばかりだったのに。これからもっと楽しいことがアイツの人生には待っていたはずだったのに」 「だから私を助けてくれたんですか。妹さんと私が似てたから。面影を感じて」 「……そうだね。今度は絶対に守るって。華ちゃんを初めて見た時本当に驚いたんだ。神様が俺にもう一度チャンスをくれたんだと思った」  結局危険な目に合わせてしまったけれど、と間宮さんは呟いて顔を俯けた。  どうするべきなんだろう。私は。  出て行くべきなんだろう彼の家を。  彼が見ているのは私じゃなくて、私の中にある妹さんの面影なのだ。  でも、間宮さんの方がずっと苦しかったはずだ。そんな罪悪感。だから彼はなにも言わなかったのだ。今まで秘密にしていた。   「――私はいいです。身代わりでも」 「え」  さっと顔を上げ、驚いた表情でこちらを見る間宮さん。 「それでも私を地獄から救ってくれたのは優馬さんだったから。それもニ回も」  掛け布団の上に置かれていた彼の腕に触れる。ゴツゴツとしていて硬かった。  言ってから思った。私、やっぱり相当やばい男に拾われてしまったらしいなと。
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