寒いよ……

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寒いよ……

雨が降ってきた…… 私の羽はもう雨を弾く油分はほとんど残ってないの。 コンビニの軒下に落ちた巣から出たものの、兄妹たちは巣の中から出られないほど幼いものがほとんどで、すぐに動けなくなった。 お母さん、どこにいるの? その時、小さな女の子が私の所に来た。 「よしよし、これあげるから、食べてねヒナちゃん」 女の子は待っていたパンの袋をわざわざ開けて、ちぎって私の口元に差し出してくれた。 いいのよ、もう食べる元気もないのよ…… ほら、もうお迎えがきたわ…… 私は金色の光に包まれた。 暖かい光は、私を包んで広がっていく。 その中には、私の兄妹たちの姿も見えた。 やっと会えたね。寂しかったのよ。 私は安堵感を覚えた… ………… 「もう大丈夫だ」 「パパ、ありがとう。ヒナちゃん助かったの?」 「ああ、この子はもう大丈夫だよ」 「やったあ!パパが獣医さんでよかった。私も獣医さんになるわ」
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