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そんなわけで、僕はゴミを拾って、体を鍛えてるんだ。
うん。発想が既に気持ち悪いよね。うん。
大丈夫。それもちゃんとわかってるからさ。
で、たぶんこうなってしまうのは、僕が童貞だからだ。
好きな人にどうしたら喜んで貰えるかが、全然わからない。
でも、それも大丈夫。
一目を気にして生きて来たから、気持ち悪いだろうことはちゃんと察知して、
彼女に不快な思いは絶対にさせないよ?
そんな僕に彼女は話しかけてくれたことがある。
多分その時、彼女は休日だったのだと思う。
「最初キョロキョロして、挙動不審な姿を見た時は、何か悪いことをしてようとしてるのかと思ったんですけど…………してたのはゴミ拾い。
それがわかった時、すごく自分が恥ずかしくなりました」
「あ、いえ、別にそんな……。僕は自分の為にしているだけで__」
「わかってます。別に良い人アピールしたいから、ゴミを拾っているわけじゃないんですよね? だから誰かに知られたら恥ずかしいんですよね?」
容姿だけじゃなく、心まで綺麗で真っ直ぐな彼女は、良い風に受け取ってくれた。うん。たぶんこの人は天使かなんかだ。
で、僕はこの人のこの笑顔が見たいだけのモブだ。
だから、それに乗っかってホントの事は言わない。
僕はすごくズルくて利己的。多分、ファンタジーならゴブリン。
そんな人間はどう考えても彼女に相応しくない。
といっても、付き合えるなんて思ってやしないよ?
ただ、友達にはなりたいなって思っただけさ。
ゴブリンだって、体を張ることとゴミを拾うぐらいはできるしさ。
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