童貞ハラスメント

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「おはようございます」 爽やかな朝に相応しい、爽やかな笑顔の美人から今日も挨拶をされた。 「お、おおはよ、ようございます」 それに対して、上擦り、動揺がモロにわかる声で返してしまった。 ああ、なんて恥ずかしい。 やり直したい。 「フフフ、行ってきます」 しかし、そんなダサい姿を見せた僕に対して、 少しもやな感じを見せることなく、輝くばかりの笑顔で返してくれた彼女。 僕の住むアパートの人の良くできたお隣さんだ。 「お、お気をつけて」 彼女を見送り、ポストを確認してから、自分の借りる部屋の鍵を開け中に入る。そして、思う。 「ああ、毎回毎回なんで僕は…………」 殆ど毎日顔を合わせているというのに、全く慣れこともなく、毎度毎度、声が上擦ってしまう。 彼女に声を掛けられると、どうしても緊張してしまうからだ。 「はぁ~やれやれだ」 そうっ! 童貞丸出しな上に、更に彼女への好意もモロバレの、もはや存在自体が恥ずかしい男。それが僕なのだ。 今の世だ。童貞ハラスメントとか言われてしまうかもしれない。 恩人に何も返すことが出来ない。情けない男。 それが僕だ。
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