28人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます」
爽やかな朝に相応しい、爽やかな笑顔の美人から今日も挨拶をされた。
「お、おおはよ、ようございます」
それに対して、上擦り、動揺がモロにわかる声で返してしまった。
ああ、なんて恥ずかしい。
やり直したい。
「フフフ、行ってきます」
しかし、そんなダサい姿を見せた僕に対して、
少しもやな感じを見せることなく、輝くばかりの笑顔で返してくれた彼女。
僕の住むアパートの人の良くできたお隣さんだ。
「お、お気をつけて」
彼女を見送り、ポストを確認してから、自分の借りる部屋の鍵を開け中に入る。そして、思う。
「ああ、毎回毎回なんで僕は…………」
殆ど毎日顔を合わせているというのに、全く慣れこともなく、毎度毎度、声が上擦ってしまう。
彼女に声を掛けられると、どうしても緊張してしまうからだ。
「はぁ~やれやれだ」
そうっ! 童貞丸出しな上に、更に彼女への好意もモロバレの、もはや存在自体が恥ずかしい男。それが僕なのだ。
今の世だ。童貞ハラスメントとか言われてしまうかもしれない。
恩人に何も返すことが出来ない。情けない男。
それが僕だ。
最初のコメントを投稿しよう!