濃い人 ~コイビト~ 【海水浴編】

12/14

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
しばらく抱き合って お互いの恋人不足を充分 補充した後、 お腹がすいた俺たちは散歩がてら外へでた。 コンビニでお弁当と花火を買って 旅館でバケツを借りてから 花火OKの砂浜へと向かった。 『夜は涼しいね~♪』 『だな♪』 『星、キレイだね。』 『うん。あと花火も。』 『うん。キレイ……』 『うん……』 線香花火と星。 2人でいると、よりキレイに見える。 海には入れなかったけど 今、楽しいからいいや…… なんて思っていたら 『……あーあ。  せっかくの海水浴だったのに…豪太、  海 入れなくて残念だったなー。』 ポツリと宏海が呟いた。 『…………え?  残念って……  宏海が海、入るなって……』 『ん?……まあ、そうだけど。  ………はあ。』 宏海は終わった線香花火を バケツに放り込んでから 俺を見て、大きくため息をついた。 『……………??』 『……豪太って、  普段、毛に守られてるから…なのかな?  意外と肌弱いでしょ?  なのに…剃ったばっかりの柔やわな肌で  海なんか入ったら………  絶対 滲みるし、絶対、痛い!!  それに……後から 絶対かぶれる!』 『………………え。』 ……じゃ、じゃあ、 「海に入っちゃダメ」って 本気で怒ってたのって…… お、俺のため!? 『ひ…ひろ……………っ……』 あ、ヤバい 泣きそう……! 『あと…俺が女子たちと一緒にいたの  男子(バカ)たちに頼まれたから  仕方なく、だからね?』 『…………そ、そうなの?』   『そうなの!  もう…ず~っと まとわりついてきて  ウザいし、マジで 苦痛だった…!  頑張って耐えたけど我慢の限界でさ…  でも、あのまま帰ったら  一生 後悔する、って思って……    だから今、やっと豪太と  2人きりになれて、よかった…』 『……………う、うんっ////!  俺も……う、嬉しい…!!』 宏海の優しさが嬉しくて 抱きついて、抱きしめて 熱烈なキスをする。 ありったけの「好き」って想いを込めて。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加