濃い人 ~コイビト~ 【海水浴編】

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『はー、はー』 や… やっと追いついた…… 重かったぜ! こんちくしょーめっ!! 『ははは。』 『やっと来た~。』 『豪太、おっせーよ!』 『落としてねぇだろな?』 なんて笑う、悪友たち。 『お前ら……』 そこは 「お疲れ様」か「ありがとう」だろがっ! 『さ、泳ぐか!』 『おー!いこいこー!』 『女子の水着じゃー♡』 『豪太、荷物番よろしくー!』 『へ?……あ、おいっっ!!』 とっとと俺を置いていく悪友たち…… くそぉ…! マジで重かったんだから 少しは労れって! まったく、もう…… ───って 荷物番!! それなら脱がなくていいじゃん! ひとまず…助かった…! つーか、疲れたぁ…… 膝に手をつき、息を整えていると 目の前に ヌッと タオルが現れた。 『……………?』 不思議に思って顔を上げると そこには…… 優しく微笑む天使(宏海)が立っていた。 『お疲れさま、豪太♡』 と、優しく微笑みながら 額の汗を拭いてくれる。 『ひ、宏海ぃ…♡』 うおぉぉぉ…♡ 荷物、運んで よかった……! そして荷物番で よかった……!! ありがとう、神様っっ!! 『あー、あっついねぇ~。』 宏海が「よっこらしょ」と、 俺の横に座る。 『お、女の子たちはいいのか?』 宏海が傍にいるのが嬉しいクセに さっき 女の子に囲まれてて悔しかった事 1人置いてかれて寂しかった事……を 思い出して つい憎まれ口を叩いてしまう俺。 『んー?うん。  トイレ行くって逃げてきた。    ………なに?  俺、女の子といた方がよかった?』 宏海の目がスーッと細くなる。 (これは、広海が怒る前のサインである) 「──っ、んなワケないだろっ!!  俺は宏海といたいし  宏海が一緒じゃないと楽しくないっ!」 慌てて、言い訳…ではなく 本音をぶちまける。 『そう?よかった♪俺もだよ♡』 優しい天使な笑顔の宏海に戻ってくれて ホッと一安心。 それから暫くは2人して ボーッと海を眺めて 泳がずして夏を満喫?していたのだけど…… 『あー、楽しかったぁ!』 『豪太、サンキュー♪』 『交代しようぜ~!』 悪友たちが戻ってきて、ピンチ再来…! しかも、 『宏海くぅん♪泳ごうよ~♡』 『海の中、気持ちいいよ~♡』 またしても 女の子たちが宏海を強引に 海に連れていこうと群がり始めた。 うぐうぅぅぅ! 俺の宏海にベタベタ触るんじゃねぇぇ!! とか言ってやりたいところだけど さすがにそれは……出来ない…… 悔しいぃぃ…!! 『あー、めんどくさ……』 宏海が低く呟いた。 (これは、かなり怒っているサインである) 『え?』 『なに?』 『誰?』 女の子たちは まさか宏海から発せられた声だとは 思ってもいないようで キョロキョロと辺りを見回している。 その間に、 女の子の手を振りほどき 立ち上がった宏海は 『豪太も一緒なら行くよ♡』 と、ニッコリ。 おお!宏海ぃ…… ナイスリカバー! ────って……あり? 豪太も一緒なら……って………… 俺も一緒に………… 海に行くって事??? 海に行くって事は……… 服、脱がなきゃじゃんっっ!! 俺……っ… 俺……っ… 大ピンチじゃね!?
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