濃い人 ~コイビト~ 【海水浴編】

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人手のわりに 幸いにもトイレは混んでなかった。 よ、よーし! 個室に飛び込んでカバンの中をあさって 取り出したのは… チャラチャチャーン♪ 5枚刃 カミソリ~!! もしもの時のために カバンに入れといて よかった~っ!! 『よし、これで……』 とりあえず1番 目立つ 胸毛を剃ろう!! ホント言うと 背中も剃りたいところだけど 1人じゃ無理だし…… あと 脛毛と腕毛…も…… いや、 さすがに そこまで剃ったら 時間が かかりすぎる… まあ…なんとかなる…か? なる…と信じよう。 専用のジェルを塗りたくって ジョリジョリ。 胸毛といっても腹まで続いているから 結局、前側はほとんど剃るハメに… 毛が絡まり5枚刃でも苦戦して 思ってたより かなり時間が かかってしまった。 急いで広海の元に戻らなきゃっ!! 『うおぉぉぉぉっっ!!』 大急ぎで、走って走って 荷物を悪友に預けると パーカーとジーパンを脱ぎ捨てた。 そして、 女の子たちと海に浮かんでいる 宏海に手を振る。 宏海はすぐ俺に気がついてくれて 女の子たちに何やら声をかけて 海から上がってきた。 『豪太、随分 長かった……』 近くまで来て、 俺のツルツルの体を見た途端 ぎょっと足を止める。 『え…、豪太……それ……』 『あ、うん。さすがに皆いるから  は、恥ずかしくて…さ…💦  トイレで剃ってきちゃった…!』 『…………ふーん。』 宏海の目がスーッと細くなる。 ………あ、あれ? これは…怒る前のサイン……? 『……ひ、宏海?  なんか…あの……お、怒ってる?』 恐る恐る聞くと、 『…………別に?  豪太がそうしたかったんなら  いいんじゃない?』 完全に座った目を フイッと反らし海へ戻ろうとする宏海。 『あ…!宏海っ!お、俺も…っ』 『ついて来ないで。』 『…………え?』 『豪太は海に入っちゃダメ。』 冷たく言い捨て スタスタ歩いて行ってしまった。 『………………え……え?』 置いて…かれた…… え? え? ウソ……! 怒って…たよな? 怒って……… ど、ど、どうしよう…… 怒らせちゃった!!! ど、どどどとうしようっっ!!
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