濃い人 ~コイビト~ 【海水浴編】

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ガーン…… 怒らせた…… この 目の前に広がる海のように 心の広い優しい宏海を… 怒らせてしまった…… ガーン…… そうだ…… そうだよ… 宏海は…俺の毛を… コンプレックスでしかなかった モジャモジャを…… 「好き」って言ってくれて…… いつも「俺のクマさん♡」って 胸毛に すりすりするのが大好きで… なのに! 俺は…… 俺ってヤツは……! 自分の勝手な都合で…思いつきで 剃って…… 剃っ……… 『ああああ……剃っちゃった……  俺のバカ…バカバカ………』 ツルツルの胸とお腹を見下ろし 自分のしでかしてしまった事の重大さに 凹む。 うー、どうしよう…… 謝りに行った方がいいかなぁ…… でも「海に入っちゃダメ」って 言われちゃったしなぁ…… どうしよう…… 砂浜を行ったり来たり、 ウロウロしていると 前から歩いてきたマッチョな男に 声をかけられた。 『あれー?豪太くんじゃないかっ』 『…………へ?』 見れば、ソイツは隣のクラスの “ ムキムキ筋肉バカ ” (←ホメ言葉) の 異名を持つ 野球部のエースの…… 野……坂…… 『────はっっ!』 な、 な、 なんじゃ、コイツ…! 全身 モジャモジャ!! 俺より毛むくじゃら…… なんですけどっっ!? 俺がクマなら、コイツは ゴリラ!! しかも、モジャモジャをまったく 隠す事もなく堂々と歩いてる….っっ! す、すげーっっ!!! なんだ、コイツッ!! 『あれ、野坂じゃん。』 『………へ?あ……』 そこに、現れたのは…愛しい俺の宏海! 『ひ、ひろ……』 『あは。野坂、すごいね、胸毛~♪』 愛しい俺の宏海…………は、 俺を完全にスルーして野坂に近づくと 野坂の胸毛をガン見しながら ニッコリと笑った。 『───え、えええ…??』 ガーン! 『すごいだろー?触っていいぞ?』 『えー、いいの~?』 『────え、え、えええ…!』 ガガーン!! ひ、宏海が……! 俺以外の!毛を見て よ、よ、喜んでる……! 嬉しそうに笑ってる…! そしてそして、触ってるーっ!! ガーンッッ!! ウ、ウソだ……! ウソだ!やめてーっっ!! 宏海ぃぃぃ! カムバーック!!!
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