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占いの館「Future prophecy」
仕事が終わると美樹は踊るような足取りでオフィスを出た。
口コミで評判になっている占い館。
一日一人しか占わないと言うこの店は、専用サイトも不規則にしか現れず、予約難易度はプレミア級と言われている。
この店の予約が取れた日からずっと、美樹は今日を心待ちにしていた。
お目当ての店は大通りから外れた路地裏にあった。
古いビルの2階に続く階段は薄暗く、初めて来たものを拒むような雰囲気を醸し出している。
「よく当たる占いの館って感じよね!」
美樹は明らかな強がりを口にして勇気を奮い立たせ、せまいコンクリートの階段を上った。
ビルの二階には廊下を挟んで二つずつドアが並んでいる。
派手なスナックの入り口をやり過ごし、一番奥まで歩くと、扉には黒いプレートに金文字で「Future prophecy」と書かれている。直訳すれば『未来予言』だ。
都市伝説とまで言われた占いの館を前に
多少の胡散臭さは感じても、ここで引き返す選択肢はなかった。
美樹はそっとドアを開け、恐る恐る中を覗き込む。
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