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カチ、カチ
「リゼルこれ使えないよ。」
「なんだって?」
リルから火打石を受け取り何度が打付けるが火花すらあがらなかった。
「っちあの魔王不良品掴ませやがって。」
配給品として昔貰ったものだが使えないのならいらないな。火打石をその辺に投げ飛ばすと次の手を考える。
「ふぁいや。」
その時リルが人差し指に炎を灯した。
「相変わらず器用なものだな。」
「天才ですから。」
リルはエッヘンと胸を張る。主張のない胸だがそんなことを言えば丸焦げにされるので口には出さない。
「天才なのは知ってるさ。」
これはお世辞でもない。リルは正真正銘魔法の天才なのだ。魔法を使う時は詠唱を行ったり魔法陣を書いたりと何かしらの制約がある。
しかしリルにはそのような制約が一切ない。イメージすればどんな場所にもどのようなタイミングでも自分の好きな魔法を発動できるのだ。
『不可視魔法陣による連続魔法の超速使用』
これがリルに与えられたチートスキル。自分の視界に入ってる空間ならどこでも魔法陣を設置できる。
魔力が続く限り連続使用が出来るうえ展開スピードもリルの自由だ。
ついでに言うとリルは全属性、全ての魔法を放てる。
唯一の弱点は体力が無いこと。悲しき引きこもりのサガというやつだ。
「火ついたよ?」
「ありがとう。」
リルが灯してくれた火をマッツの枯れた果実に移しそのまま薪に燃え移らせる。
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