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「リゼル。」
「どうした?」
隣にいるリルの様子が少しおかしい。息遣いが少し荒く汗をかいている。
「暑い・・・あと疲れた。」
暑い?ここは魔の森だぞ?まだ太陽の光は届かないはずなんだが。
上空を見ると木々が生い茂っており直射日光の類は見られない。
だが完全に遮断されている訳ではなく所々陽の光が漏れてきていた。
「なるほどあれが原因か。少し休むぞリル。」
「がってん。」
完全に太陽の光が当たらないおおきな木の下に二人で腰かける。
「涼しい・・・」
「大丈夫か?」
リルは無言でピースサインをしているがその顔には疲れの色が見える。
「たしかあれがあったはず。」
俺はあるものの存在を思い出し空間魔法の中に手を突っ込む。
「あったあった。リルこれを着てみろ。」
リルに黒色のフード付きコートを手渡す。
「おっきいよ?」
「いいから着てみろ。」
「ん。」
リルは俺の言った通りにコートの袖に腕を通す。
「着たよ?」
見た目は完全にサイズ感をミスった様子だ。オーバーサイズを遥かに超えたブカブカさだ。
「ならアジャストって唱えてみろ。」
「アジャスト。」
リルが唱えるとコート全体が少し光り始めすぐさま収まる。
「お、おお!」
普段見られないテンションが高いリルだがそれもそうだろう。先程までぶかぶかだったコートが今はピッタリサイズに早変わりしたのだ。
「リゼルこれすごい。」
「これは特殊魔法が付与されているコートで体温調整と日光遮断、さらにサイズ調整が出来る代物だ。」
どこで手に入れたかは忘れたがいつか使えるだろうと空間魔法にしまっていたのをふと思い出したのだ。
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