1年生その5「ヤゴレスキュー」

3/11
前へ
/11ページ
次へ
 ……  …………  ………………  ……………………マジか!!  網をついて立ち上がろうとするけど、  支えの網の棒が滑って、  バシャンッ!  ……  …………  ………………  ……………………落ちた体から!!! 「ほらー。もう、飛び込むなって言ったでしょ」  先生がプールサイドで笑っている。 「飛び込んでへんわ」 「ちょっと、1回あがり」  プールサイドに上がると、先生がバスタオルをくれた。 「まあ、そうなる子もいると思ったから、一応、予備の体操服とバスタオル持ってきといてよかった」  わいが不貞腐れていると、先生がバスタオルを取って、ゴシゴシと頭を吹き始めた。 「痛い痛い」 「ほら、しっかり拭き」  やがて、拭き終わった頃、 「フフ、先生が一番大きいヤゴ捕まえた」  先生がわいの顔を覗き込んでくる。 「何トンボになるんかなー」 「………………あほか」  先生はハハハハハって笑ってた。  わいも、なんか笑えてきた。 「体操服に着替えるのは最後ね。またコケるかもしらんから」  そう言われて、ポンと背中を軽く叩かれた。 「はい、行っといで」  仕切り直しや。  ……よし! やるでーー!!  今度は、プールの底をすり足のようにそろそろと歩く。  網で落ち葉をすくってみる。 「どない?」  ゆたやんが、近づいてきて一緒に網を眺める。  小さい何かがチョコチョコチョコチョコ動いた。 「いたーーー!!」  急いで、手で捕まえる。  バッタ捕まえたときのような感覚が手に伝わる。 「バケツバケツ」  急いで、プールサイドに置いていたバケツに向かう。 「ゆっくり!またコケるで」  ゆたやんが、声をかけてくれる。 「おーー」  バケツにヤゴを入れると、ピューと元気に泳いでた。それを見てプールサイドの先生と一緒に笑う。  それからは順調にヤゴを捕まえていった。  途中、みんなで1列になって端から端まですくって、全部のヤゴが救えるように頑張った。あとでみんなのヤゴを数えると、2000匹は超えていたらしい。  わいも、ゆたやんも大量で、ちゃんと数を数えられんぐらい取った。  だから、すっかり勝負のこと忘れとったわ。 c28e8cb9-2404-4cbd-9f9c-46cb45da3fda
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加