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私は何か悪いことをしたの?
ねぇ
誰か答えてよ
誰か私を助けて。
「どうしたの?」
そんな柔らかい声が頭上から降ってきた。
その声に安心している私がいて。
気づく。
ああ、私はずっとずっと誰かの助けを求めていたのかもしれない。
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「先輩!灯花先輩!」
大きな声で叫ぶと先輩は呆れたように首を振る。
「電車の中で叫ぶんじゃない!迷惑!」
はい、すいません。
謝りながら自分の席を譲り、混み始めた電車の中私は立つ。
「灯花」先輩。そう書いてとうか、と読む、私の先輩だ。
かたんかたんことん。かたんかたんことん。
電車の揺れに合わせて吊革を握る私の体も揺れる。
「そういえば、さ。」
好きな俳優とか、声優とかについて他愛もない雑談をした。目的の駅まであと数分、というところになった時、先輩は呟いた。
それまでと違って少し儚さと悲しみが入り混じった声だったから、怖くなって心臓が跳ねた。
「ごめん。…転校、することになった。」
そのあと自分がなんと言ったか分からないくらい動揺した。その言葉は多分、みっともないくらい掠れていた。
そのまま電車から降りてもずっと何も喋らないまま
学校に着いてしまった。
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