第1話「夢を乗せて走る車道」

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🎵哀泣き笑い時代は流れた・・・🎵 『・・・・・・』 国道の向こう側に広がる海岸線 🎵強者達の夢の跡・・・🎵 『・・・・・・』 想像しながら待つ時間 🎵あの日の熱い僕はもういない・・・🎵 入場ゲートが開く瞬間を心待ちにしていた“あの時”と、どこか似ている 『・・・・・・・』 🎵燃え尽き・・・死んだはずさ🎵 【懐かしいです・・・】 あの夏の日とは、真逆の熱光線の下なのに 🎵もう一切 金輪際 Hush‼︎ Woh‼︎ Oh‼︎🎵 『・・・・・・』 いつでも、あの雨の中に帰れる 🎵嗚呼 人生 俗世間に目をそむけて・・・🎵 《カンカンカンカ・・・・》 持ち上がる遮断機 🎵「いい人だね」と皆に言わせて・・・🎵 それを合図に、ペダルに対して重心をかける 🎵無邪気に道化を演じてる・・・🎵 【あれから5年が経ちました】 🎵妬みと見栄の虚しい毎日・・・🎵 鼻先をくすぐる、一層濃くなった磯浜の香り 🎵今宵も・・・泣いてホロリ・・・🎵 【もしも、あの空の遥か上に繋がる回線があったら・・・】 🎵目一杯 精一杯 Guts!! Woh!! Oh!!🎵 どこまでも果てしなく高く広がる青さ 『・・・・・』 🎵嗚呼 人生 大惨敗へ Go!! Ready go!!🎵 【話したい事が、たくさんあります】 少しずつ潤みを帯びていく視界 🎵泣き濡れた僕は・・・🎵 【ありすぎて、ありすぎて・・・】 🎵惨めな Dirty old,dirty old man・・・🎵 徐々に迫る国道の表示看板の輪郭も、ぼやけて、はっきりしない 🎵夢のような過去が・・・🎵 『・・・・・・・』 【きっと一日中話してしまうかもしれません・・・】 🎵巡るよ Merry-go.merry-go-round・・・🎵 スッとハンドルから離れる片方の手 『・・・・・・・・』 🎵神が決めた小粋なルールには・・・🎵 目元の縁から、こぼれる雫を受け止め 通りすぎる景色の中へ受け流す 🎵早幾年 あやまちと無礼・・・🎵 『・・・・・・・』 次の瞬間の微笑みのために 🎵見舞い中・・・Woo,hoo・・・🎵 【今は、アプリというものもあって、通話代も気にせずに、話せる時代なんですよ】 🎵大事なものは若さじゃなくて・・・🎵 【そのうち本当に、天国にまで繋がる時代が、やってくるかもしれません】 🎵素顔のままのしなやかな日々・・・🎵 【何年、何十年先のことになるでしょうか?】 🎵振り向くほどに人生は悪くない・・・🎵 【その時は、ガチで話しまくりますので覚悟しておいてください】 🎵明日を・・・信じるならば・・・🎵 【ただ・・・】 《キュッ》 ハンドルを強く握りしめる 🎵もう一切 金輪際 Hush!! Woh!! Oh!!🎵 【今すぐ、伝えたいことがあります】 🎵嗚呼 人生 大逆転へ Go!! Johny go!!🎵 【今でないと、ダメなんです】 🎵うな垂れちゃ駄目さ・・・🎵 【どうか二件だけ、メッセージを送信させてください】 🎵踊ろよ Get it up,stand it up,man・・・🎵 【ひとつめは・・・】 🎵淋し気な夜は・・・🎵 国道の通り沿いに幾重にも往来する車列 そのバックグラウンドは、ほかでもなく、延々と続く渚 🎵流れる Radio,favorite songs・・・🎵 【“サザンが復活しました“】 🎵語りかける鏡の人物は・・・🎵 『・・・・・・』 🎵"Tell me what you see."🎵 正面に見えた海岸線は、もう、右に位置を替えている 🎵"What you see is me."🎵 《サァーー・・・》 平行して走る車道 🎵"I've got you.Woo,hoo."🎵 【あと・・・もうひとつ・・・】 🎵La la lu・・・🎵 【“私、今日で・・・”】 🎵夢じゃないアイ・・・🎵 【“24歳になります”】 『・・・・・・・・』 🎵泣き濡れた僕は・・・🎵 【なんて、返信をいただけるのかな?】 🎵惨めな Dirty old,dirty old man・・・🎵 『・・・・・・・』 🎵夢のような過去が・・・🎵 【あなたからの言葉を】 🎵巡るよ Merry-go,merry-go-round・・・🎵 【聞かせてください】 🎵うな垂れちゃ駄目さ・・・🎵 『・・・・・・』 🎵踊ろよ Get it up,stand it up,man・・・🎵 【聞きたいです・・・】 🎵愛されたいのさ・・・🎵 と、その時ーー 🎵涙の・・・🎵 《🎵》 『!』 メッセージ通知が入る 🎵Dirty old man・・・🎵 『・・・・うそ』 《キィーーー・・・・》 🎵恋に濡れた真夏の情緒にも・・・🎵 なるべく平静を保つよう 落ち着き払って自転車を止める 🎵早幾年・・・🎵 『・・・・・・』 《ドクドクドクドク》 🎵あやまちと無礼・・・🎵 あまりのタイミングのよさに、たとえ、あり得ない事だとしても、想像力と期待が、どんな非現実をも掻き立てる 🎵見舞い中・・・Woo,hoo・・・🎵 『・・・・・』 スマートフォンの画面を滑らそうとする指先に、脈動がはっきりと伝わってくる 🎵La la lu・・・🎵 《ドクドクドクドク》 ”・・・もう!えいっ!“ 🎵終わりじゃないアイ・・・🎵 《シュッ》 開いた画面には 『・・・・・・・』 🎵La la lu・・・🎵 分かってはいたが・・・ “そりゃあ・・・そうだよね” ひとり苦笑いする “・・・に、しても・・・” 肝心の相手を見ると、 『・・・“ほたる”ちゃんから?』 意外な人物 『・・・?』 そして、その内容 [茅崎先生、すみません、今、大丈夫ですか?] 『ん?』 首をかしげる 疑問をすぐさま返そうと、指先を慌てて叩く [大丈夫だけど、どうしたの?] 文字が表示されるやいなや、すぐさま返ってくる [すみません・・・急なお願い事なんで・・・] 『?』 [お願い事?何?電話で話そっか] [えーとですね・・・] 『・・・・・・』 [ ] [ ] 画面を埋める訳でもない妙な間が続く 『・・・・・・・』 いよいよいたたまれず [今、どこにいるの?] すると、 [職場にいます] [じゃ、今から行くね!] そう打つと、返事を見ようともせずに、くるりと自転車を反転させる “あぁ~もぉう!時間ないのにぃ~!” 思い切りペダルに力を込める 『・・・・・・』 時々、こんな自分の性格が、たまらなく恨めしくなる時がある 【拝啓、茅崎 栞様】 《サァーーー・・・》 【私、茅崎 海 24歳ーー】 『・・・・・・』 【まだまだあなたには、追いつけません】 《サァーー・・・》
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