第1話「夢を乗せて走る車道」

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熱を帯びる渚に一番似合うBGM 🎵愛を止めないで・・・🎵 人々は、知っている この夏がいつにも増して特別な夏だということを 🎵君よあるがまま・・・🎵 砂浜で寝そべるカップルも 🎵揺れる想いを・・・🎵 波打ち際で遊ぶ親子連れも 🎵抱きしめながら・・・🎵 海上で波を待つサーファーも 🎵Anyway,ひとり身 のLonely girl🎵 このひと夏のBGMの意味を心の片隅に、浮かべている 🎵偽りのシャツに・・・🎵 遠くに霞む烏帽子岩 🎵ためらいのボタン・・・🎵 ぼんやりと寝ている江ノ島 🎵時代の流れに・・・🎵 サザンCのモニュメントの前で、ひっきりなしに、記念撮影をする観光客 『・・・・・・』 🎵身を震わせて・・・🎵 “懐かしいなぁ” 🎵Anyway, おぼれてる No, no, boy・・・🎵 あの夏の日から、4度巡った夏 ビーチは、人々の寂しさを、癒し続けていた 🎵みんなで空高く・・・🎵 そして この夏、彼らは、カムバックした 🎵舞い上がれ・・・🎵 さらに大きな夢を引っ提げて 🎵やがて誰の心にも・・・🎵 『・・・・・・・』 “帰ってきたんだなぁ・・・” 🎵虹のカーニバル・・・🎵 『おかえり!』 『えっ!???』 背後からのいきなりの声 🎵この胸に・・・🎵 『・・・・・・・』 🎵抱いてた・・・🎵 ゆっくり振り返ると 彼女がいる 🎵ひそやかな・・・🎵 『もぉ~~!』 怒っている 🎵悲しみさえ・・・🎵 『・・・・・・まぁ、そんな怒るなって』 『・・・・・・・・』 🎵遠い夏の・・・🎵 『・・・・・・そんな、にらむなって』 『・・・・・・・・・』 🎵孤独な・・・・🎵 『・・・・・・・・』 『ふぅーーっ・・・』 🎵街並みはBlue・・・🎵 『こっちから電話しなかったら、私、ずっと駅で待ってたんだよ!』 『だって、海ちゃん、来ないからさ』 『メールしたでしょ!』 『俺もメールしたよ!』 お互いに指を指し合う 🎵大切な日々が・・・🎵 『・・・・・・』 『・・・・・・』 🎵やがて訪れて・・・🎵 それぞれ、自分のケータイを取り出し、確認する 『・・・・・・・・』 『・・・・・・・・』 🎵素敵な恋を・・・🎵 【茅崎 海 :12時33分 『20分くらい遅刻します(>_<)』】 🎵見つけたならば・・・🎵 【江島 ヒロシ: 12時33分 『サザンビーチで待ってます⌒(ё)⌒』】 🎵Anyway, 夢の中 Lonely girl・・・🎵 『・・・・・・・』 『・・・・・・・』 お互いに未読 🎵幾つもの夜が・・・🎵 『ナニ?この・・・“⌒(ё)⌒”って・・・』 『・・・カモメ』 🎵通り過ぎてゆく・・・🎵 『・・・・・・・ゴホン』 『・・・・・・・・』 🎵旅の重さに・・・🎵 『・・・・・ヒロ兄ちゃん・・・久しぶり』 『あぁ、久しぶり』 🎵疲れたならば・・・🎵 『何年ぶりになるかな?』 『えーと・・・』 🎵Anyway, 振り向かず No, no, boy・・・🎵 『私がここに来たのが、3年前だからぁ~・・・』 『3年ぶりか』 『意外に長いね』 🎵みんなで声合わせ・・・🎵 『あぁ、色々あったし』 『だよね』 🎵飛んでゆけ・・・🎵 『震災があったり・・・』 『・・・うん・・・』 🎵やがて雲の切れ間から・・・🎵 『桑田さんの・・・病気もあったな・・・』 『あぁー・・・あの時は、ビックリしたね・・・』 🎵風のハーモニー・・・🎵 『・・・まっ、今じゃあ、こうして、嬉しい夏を迎えてるわけだし!』 『・・・うんうん♪』 🎵いつの日か・・・🎵 『で、ヒロ兄ちゃん、今日は、どうするの?』 『そうだなぁ~研修の準備もあるしな』 🎵この場所で・・・🎵 『うちのアパートにイソーローしてもいいよ~♪』 ニヤッとする海 🎵逢えるなら・・・🎵 『ハっ!?』 『変な気起こさないならねぇ~♪』 🎵やり直そう・・・🎵 『ばーかっ、ちゃんと会社でホテル取ってあるよ』 『ふーん、そうなんだ』 🎵忘れかけた・・・🎵 『今日は、海ちゃんの顔を少し見れたらいいかな~と思って来ただけ』 『え、そうなの?』 🎵真夏の・・・🎵 『元気な顔を見たかったし・・・まぁ、心配はしてなかったけどな』 笑いかけるヒロシと目が合い 🎵恋人はYou・・・🎵 『!』 何故かドキっとする 『・・・・・・?』 『・・・・・ま、またまた~、そんな事言ってさぁ、観光目当てなんでしょ』 慌てて目を逸らし、キョロキョロと周りを見渡すと 『あ、あのサザンのビーチショップ!あれが目当てだったんでしょ』 指差す先には、たくさんのサザンファンや、一般客が集まっている 『いいよ~限定のTシャツとか、覗き見ブースとかぁ~』 一生懸命説明する 『あ、あのさぁ海ちゃん・・・』 『シャワーからは音楽が流れるしぃ~・・・それから・・・』 『う・み・ちゃん!!』 『・・・・・・・・』 『誕生日、おめでとう』 『・・・・・・・』 🎵この胸に・・・🎵 『え、あ、あの~あ~覚えててくれたんだぁ~ふーん』 『この3年、祝えなかったからさ』 🎵抱いてた・・・🎵 『べ、別に誕生日なんて、そ、そんな・・・この歳でさぁ、別にどうでもいいって言うか・・・』 『特別な歳だよな』 🎵ひそやかな・・・🎵 『・・・・・え?』 『海ちゃんにとっても・・・』 🎵悲しみさえ・・・🎵 『・・・・・・』 我慢していた涙が 溢れそうになる 🎵遠い夏の・・・🎵 『あとさ・・・これプレゼントって言うか・・・』 ヒロシが差し出す、丁寧に紙で包まれている“何か” 🎵孤独な・・・🎵 『・・・・・!』 赤く腫らした目で、見つめる 🎵街並みはBlue・・・🎵 『・・・・・・?』 ヒロシの手から受け取り 『・・・・開けていい?』 上目遣いで、ヒロシを見つめる 🎵熱い波が・・・🎵 『・・・・・・うん、いいよ』 うなずくヒロシも、少し緊張した面持ちでーー 🎵また揺れる・・・🎵 『・・・・・・・』 『・・・・・・・』 🎵いつの日か・・・🎵 『・・・やっぱいいや』 『?』 🎵この場所で・・・🎵 『うちで開ける』 『あぁ・・・』 🎵逢えるなら・・・🎵 『ありがと』 『おっ!』 『・・・・?』 🎵やり直そう・・・🎵 『海ちゃん、成長したなぁ~』 『・・・・え?』 🎵忘れかけた・・・🎵 『ちゃんとお礼が言えるようになったじゃない』 『・・・・・』 🎵真夏の・・・🎵 『・・・・・・ね?』 『ヒロ兄ちゃん・・・』 『・・・・・はい』 🎵恋人はYou・・・🎵 『ちょっと、私の涙返してよ~!』 ヒロシの腕を思いっきり叩く 『いってぇなぁ~』 『当然』 『じゃじゃ馬!』 『KY男!』 【拝啓、茅崎 栞 様】 『やっぱ前言撤回する』 『なにがっ』 【私は、今日で24歳になります】 『全然成長してないな』 『うるさい』 【あなたよりひとつ年上になります】 『サザンは成長して帰ってきたのになー』 『ふん!そっちこそ、むきになって子供みたい』 【でも、きっとあなたには、いつまでも追いつけないでしょう】 『俺は、がっかりだよー、もうちょっと、おしとやかになってるかなぁ~って』 『私のほうが、がっかりー、ただのオヤジ化してるし』 【だってーーー】 『なにぉ~!』 『なによ~~!』 【いつまでも、私のお姉ちゃんだからーー】 つづく
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