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🎵いなせなロコモーションなんていにしえの事・・・🎵
『ね、あそこの席、座ろ♪』
ヒロシのシャツの袖をぐいぐいと引っ張る海
🎵Rock'n RollにさめやらぬGuys&Dolls・・・🎵
有無を言わさず、海の先導に従っていく
🎵踊りたもれコニー・フランシス・ナンバー🎵
《ザパーン》
波しぶきがあがるたびに沸き上がる大歓声
🎵言葉が無くたって解り合えてたじゃない🎵
ステージのバックには
ビーチと、どこまでも広がるコバルトブルーが煌めく
🎵あの時の二人が今では成れの果ての悲しきカンガルー🎵
すぐそこに見える江ノ島も悠然と横たわっている
🎵だましたり夢を食べたり・・・🎵
『ちょっと失礼しますねー』
笑顔を振り撒きながら観客席を縫っていく海
🎵思い通りの馴れそめは・・・🎵
《ザッパーン!》
🎵アナタの彼に言って聞かせて ・・・🎵
『海ちゃん、いくらなんでも図々しいだろう・・・』
『よし、確保♪』
🎵世間が見たら きっと浮気な女に後家サバイバー・・・🎵
一番前のセンター席に陣取る
🎵気にならないなんてえなやめて・・・🎵
『いいでしょ、空いてるんだからさ』
『まったく、どこで見たっておんなじ・・・うぉっ!?おぉーーっ!!!!!!!!』
《ザッパーン!》
🎵アナタとドリス・デイ・・・🎵
目の前のプールに飛び込むイルカ
🎵踊ろよマッシュ・ポテト ・・・🎵
『ハハハ!なに、ビックリしてんの、ヒロ兄ちゃん、ウケる!』
『あー、なんだよ、ビックリした・・・』
🎵お父つぁんもお母さんもお出かけ二人きりなの・・・🎵
アクリル板越しでも伝わる、イルカの大きさと躍動感
🎵あの頃シュープリームス・・・🎵
《ワァー、ワァー》
歓声は、ショーの最中も鳴りやまない
🎵誰かれポニー・テール・・・🎵
《『それでは、これより、この音楽のリズムに合わせて、イルカが飛び上がりますので、皆さん、手拍子をお願いいたしまーす!』》
🎵女になるのが嬉しや悲しやTeenage Dream・・・🎵
調教師のアナウンスに、みんな、いそいそと両手をあける
🎵Paul'n' Pola, Johnny Angelなんて互いに呼べば・・・🎵
《『では、いきまーす!皆さん、手拍子ー!』》
🎵Oh, Yeah!🎵
軽快なリズムに合わせて
《パチパチパチ・・・♪》
🎵いいじゃない・・・🎵
会場は手拍子に包まれる
《パチパチパチ・・・♪》
🎵Oh,Yeah!🎵
ヒロシと海もまた
《パチパチパチ・・・♪》
🎵あんなロマンスにちょっと首ったけ🎵
『なんか、サザンのライブみたい』
ボソッと耳打ちする海
🎵移り気なバケイション 渚で絡み合い🎵
その言葉にうなづくヒロシ
🎵Navy blueに恋こがれなんちゃったり🎵
《パチパチパチ・・・♪》
🎵心からのフランキー・ヴァリズ・ナンバー🎵
《ザプン!》
2頭が揃って水面から大ジャンプ
🎵このまま抱いてて波間に漂えて🎵
《ザッパーン!》
🎵Beach BoysにならGood Vibrationだったからかしら ヒップあたりゆれて・・・🎵
『おぉー!!!』
『すっごーい!!』
プールを揺らすリズムの波に、気持ちよさそうに、並んで泳ぐイルカ達
《パチパチパチ・・・♪》
会場を包み込む手拍子が、さらに一体感を増していく
《『まだまだいきまーす!』》
《パチパチパチパチ♪》
《ザプン!》
『おー!!』
《ザッパーン!!》
《パチパチパチ♪》
『すごいねー』
『あぁ、すごいな・・・』
《パチパチパチパチ♪》
言葉を交わし合い、同調するように顔を見合わせる
🎵彼とならやさしくやれる・・・🎵
『・・・・・・』
『・・・・・・』
《パチパチパチ♪》
🎵思い通りに入れ込める・・・🎵
『・・・?・・・な、なによ?』
じっと見つめるヒロシに、少し照れを隠すように、言葉を吐く
🎵ただの男じゃあ つまらないけど・・・🎵
『い、いやさぁ~』
『・・・?』
🎵二人を見たら・・・🎵
『なんか、すごく懐かしいなぁって・・・』
『・・・・・え!?』
🎵ぐっとくるよな女にカミさんKeeper🎵
思わぬ言葉に耳を疑う
🎵今さら怖いなんてえな駄目よ・・・🎵
『・・・・・・』
ヒロシは、遠い目をして真正面を向く
🎵アナタとドリス・デイ・・・🎵
『海ちゃんは、小さかったけど、覚えてるかな?』
『!?』
🎵踊ろよマッシュ・ポテト・・・🎵
『なんか、はしゃいでる海ちゃんを見てたら、まったく変わってないなってさ・・・ハハハ』
『・・・・・・』
🎵お父つぁんもお母さんもお出かけ二人きりなの・・・🎵
『・・・10年前だけどさ、あっという間だよな、10年って・・・』
『・・・・・・』
🎵あの頃シュープリームス・・・🎵
『・・・・・・・』
『・・・・・・・』
🎵誰かれポニー・テール・・・🎵
『・・・・・ん?』
『ずるいよ』
🎵女になるのが嬉しや悲しやTeenage Dream・・・🎵
『え?』
『昔は、もちろん楽しかったよ』
🎵たそがれたままなんだかんだで年をとるだけ ・・・🎵
『・・・・・・』
『ホントによーく覚えてる』
🎵Oh No・・・🎵
『お姉ちゃんがいて、ヒロ兄ちゃんがいて、私がいて・・・』
『・・・・・・・』
🎵だめねえ・・・🎵
『でもね、今だってもちろん楽しいよ』
『・・・海ちゃん・・・』
🎵No Good!🎵
『楽しい時に・・・』
『・・・・・・・』
🎵あんなロマンスにちょっと首ったけ🎵
『泣かせないでよ』
『・・・・・・・・』
人差し指で、目もとを拭うと、パッと笑顔を浮かべる
🎵アナタとドリス・デイ・・・🎵
『・・・な~んて、冗談、冗談!』
『・・・・・・・』
《ザッパーン!》
🎵踊ろよマッシュ・ポテト・・・🎵
『うわー、かわいいー♪』
『・・・・・・』
《パチパチパチパチ♪》
🎵お父つぁんもお母さんもお出かけ二人きりなの・・・🎵
『そうだ!もう少し時間あるし、あそこに行かない?』
『・・・・・・?』
🎵あの頃シュープリームス・・・🎵
海は、アレを真っ直ぐに指差す
『・・・・うそだろ、これから?』
🎵誰かれポニー・テール・・・🎵
江ノ島
🎵女になるのが嬉しや悲しやTeenage Dream・・・🎵
『本気で?』
不服そうなヒロシに対して
『今日は何の日でしたっけ?』
ジロリと睨む
『・・・分かったよ』
『分かればよし!』
『はぁ~、ホントにあらゆる意味で変わってないな・・・』
『・・・・・・』
『・・・・・・?あれ?聞こえてなさそう?』
『・・・・・・』
“・・・お姉ちゃん・・・”
そっと、小さく手を合わす
“今日は1日、ヒロ兄ちゃんをお借りしてます”
隣のヒロシに気付かれないように・・・
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