第2話「秘密の江ノ島デート」

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江ノ島へと続く弁天橋 真っ青に透き通る空と、左右両側に、その青をそのまま映し出したかのような、大海原が広がっている 真正面に見える江ノ島は 誰が来るのをも拒まず、いつまでも乗船を待ちながら停泊している大きな船のよう 『富士山が綺麗に見えるんだな』 『うん、綺麗でしょ、これがまた夕方に来ると夕焼けに染まって綺麗なんだから』 『なんだ、海ちゃん、やっぱり詳しいね』 『まぁ、ただ茅ヶ崎で暮らしてるだけじゃないからね』 並んで歩くヒロシと海 嬉しそうに話す海の様子を見たヒロシは・・・ 『それじゃ~、ひょっとしてデートでよく来たり・・・とか?』 『・・・なっ!』 ニヤリとするヒロシに、海は、何故かたじろぐ 『海ちゃんも、もう大人だしねぇ』 『なに!?その言い方!?、まぁ、私だって、そりゃ、彼氏の一人ぐらいいるし』 チラッとヒロシを見て、また前を向いて黙々と歩き始める 『・・・・・・』 数歩進んでから、立ち止まり、くるりと振り返る 『今日は、日頃、出会いの少ないカワイソ~~なヒロ兄ちゃんのために、わざわざ、付き合ってあげるんだからね!』 念を押すように語尾を上げて言う 『俺は、海ちゃんの誕生日だからわざわざ付き合ってるんだけどね・・・』 ボソッとつぶやいて、笑う 『あっ、せっかくだし、記念撮影してもらわない?江ノ島をバックに』 『えっ、写真?』 海は提案すると早速に、通行人の若い女性に駆け寄っていく 『・・・・・・』 そして、あっという間に・・・ 『じゃ、お願いしまーす』 『・・・・・・』 カメラを通行人に渡した海は、定位置を見つけ、ヒロシを並ばせる 『ほらほら、ヒロ兄ちゃん、このへんで、ほら、何やってんの』 『ん、いや、なんかさ・・・』 『・・・・?』 『なんとなく、懐かしいなって』 『・・・ナニ・・・またぁ?』 少し眉間にしわを寄せる海 『いや、海ちゃんの事でも・・・アイツの事でも・・・ないんだけどね・・・』 『?』 『いきますよー』 合図する声 『あっ、はーい、お願いしまーす』 『ハイ、チーズ!』 『・・・エリさん』 ヒロシのつぶやきに 『え?』 反応する海 《カシャ♪》 『・・・・・・』 『あのー、横向いちゃってますが・・・もう一回撮りますか?』 『あ、ご、ごめんなさい、私です。もう一回お願いします!』 海は慌てて頭を下げる 『・・・・・・・』 『・・・・・・・』 『ハイ、チーズ!』 《カシャ♪》 『ありがとうございましたー!』 『・・・・・』 江ノ島を遠い目で眺めるヒロシ 『・・・・・』 カメラを受け取った海は、歩み寄るなり、そんなヒロシの腕をつっつく 『・・・う、うん?』 『ちょっと、ちょっとぉ~~、なんだか懐かしい名前が出てきたんですけどぉ~?』 いたずらっぽい笑い 『あぁー・・・エリさん?』 『そうそう、エリさん』 『・・・・・うん』 『・・・?』 『・・・あの・・・ちょうど5年前だけど・・・エリさんと、茅ヶ崎で、おんなじように記念写真撮ったことがあってさ』 『へぇーそうなの?』 意外そうな海 『ちょっと思い出したよ・・・』 『ふーん・・・』 『元気にしてるかなぁ・・・って』 『・・・連絡とってないんだ』 『うん・・・そうなんだよね』 『・・・・そっか』 『まぁ、そんなもんだよ・・・離れてしまうとね・・・』 『・・・・・・』 『・・・・・・』 自然と立ち止まっていた足を前に出し始める二人 『・・・・・・・』 『・・・・・・・』 『そうだ、サザン聴きながら歩かない?』 『サザン?』 『江ノ島だし』 サッと、片手ににぎるスマートフォンをちらつかす 『・・・いいね!』
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