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荒野の中の出会い
動けなくなって一体どのくらい時間が、日数が過ぎたか。バタバタとマリーに走って近寄ってくる足音が聞こえた。それは大きな足音ではない、マリー同じ位の大きさの小柄な体。
「ほら、やっぱりククだよ」
「ほんとだ、初めてみた」
幼い子供二人はマリーを見て興味津々といった様子で覗き込んでいた。マリーがわずかに身じろぎをすると二人は目を丸くして驚いた。
「今動いたよ」
「動くククはもういないっておっちゃん言ってたよ。風で揺れたんじゃないの」
マリーはもう一度体を動かす。立ち上がることができない、手足を動かすこともできないがギイギイと音を立ててわずかに体を震わせる。それを見ていた子供二人は先ほどよりもさらに大きな声で驚き飛びのいた。
「やっぱり動いた」
「すごい、動くククがまだいたんだ」
二人は協力して倒れているマリーの体を起こした。あちこち傷だらけで膝のあたりはすり減っている。片足は取れてしまっていて、なくさないように一人の子供がそれをしっかりと抱きしめた。
「どうしよう、壊れちゃいそうだよ」
足を持っていない方の子供がそう言ってマリーの体を確かめようと持ち上げたとき、パキッと音がしてマリーの左腕が取れた。二人は一瞬固まったが悲鳴をあげる。
「取れちゃった!」
「ばか、壊さないでよ! ククは大事にしなきゃだめなんだよ!」
「壊してないよ! どうしよう、どうしよう」
半泣きになってしまった子供にもう一人の子供がそうだとパッと笑顔で言った。
「おっちゃんに直してもらおう! どうせ暇だし」
「そっか、おっちゃんだったら直せるかも。絶対暇だし」
二人は持ってきていた大きなカゴにマリーをそっと入れるとカゴを背負い急いで自分たちの集落へと走る。
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