花が舞い降る

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「ライカが作った人形はマリオネットに比べてはるかに優秀だった。人形師たちはこぞって技術を競いこの人形作り出せるようになっていって、だんだんマリオネットの生産は廃れた。君たちのお役御免が加速したのはこれの影響だよ」  マリーは紙片をまじまじと見つめる。マリオネットが文字を読めるかどうかはわからない、しかしマリーはひたすら紙片を見つめ続けていた。 「君たちマリオネットにしてみればある日突然捨てられたのだからたまったもんじゃないよね。人形師も新たな人形を作れる優秀な者だけが残りマリオネットを作っているような技術の低い者達は職を失っていた」  その現象はどこにいても顕著に現れた。マリオネットの生産、それを管理し手入れをする人形師は貧しい村でかろうじて食べていける貴重な産業だった。  しかし新たな人形の存在にとって変わられて技術が追いつかず貧困の差が激しくなっていく。  そうなるともはや戦争するどころではない。人々は飢え、今を生きていくのが精一杯となっていた。 「当然だけど人形師という職で食べていけるわけない。より高い技術を高い金を払って学ぶか独学で人形を理解するか、この二つしかない。僕が出来るのもマリオネットの手入れ位だ」  シャムたちがいるこの家もおそらくマリオネット作りの工房か何かだったのだろう。道具が溢れ使っていない木材が大量に積まれている。屋根が朽ちているので雨風にさらされて木材は使い物にならなくなっているが。 「マリーの目にはどう映っているんだろうね。君もこういうところから生まれたはずなんだけど。君だけじゃない、君の仲間全員」  マリーは記事から目をはなしまっすぐシャムの顔を見た。何かを訴えかけているというわけではなさそうだがただひたすらじっと顔を見つめる。 「僕?  僕は別になんとも思わないよ。強いて言うなら」  荷物をまとめ家の外へと歩き出す。マリーもそのあとに続いた。シャムの表情はマリーからは見えない。 「なんで戦争を終わらせる方に努力を注がなかったんだろうね、理解できない」  その声はひどく冷たく淡々としていた。
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