第四話 そんなことをしているうちに、二時間が経った。

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 俺は今朝のことを思い出していた。ヤったことじゃない、こいつがオークに襲われたことだ。  アルノリアの手を掴む。 「来い」  路地裏に入った。人気のないところだ。そこで俺は、アルノリアの身体を壁に押しつけた。  唇を重ねる。奴の腿を割って、自分の脚を間に入れた。お互いのモノがはっきり感じられるようにだ。舌を挿れて口腔を舐め回しながら、背や、尻を撫でた。 「ん……はぁ……」  唇が離れたら、今度は首だ。  ここを、あのクソオークは舐めたかもしれない。そう思うと怒りで目が眩んだ。アルノリアのせいじゃない、完全に俺のせいだ。それでも、俺は自分を抑えられなかった。  俺はアルノリアの首筋を執拗に舐めた。舐めて、吸って、痕を散らした。 「ん……、ん、あっ」  こいつは首も弱いんだ。  早くもアルノリアの腰が動いている。勃っていた。後ろなんか窄まりがひくひくして欲しがっているに違いない。  俺は奴の尻の谷間を探った。 「あ、だめ、こんなところで」  アルノリアが弱々しく抵抗する。 「いますぐヤりたい」  俺の欲は凶暴だった。こいつは俺のだ。俺のもの。 「壁を向け、アルノリア。こっちに尻を出すんだ」 「でも……、誰かに見られちゃう」 「誰も来ない」  アルノリアは躊躇(ちゅうちょ)しながらも、壁に向かって両手をついた。俺はその後ろにしゃがみ、裾からもぐって尻に顔を近づける。  アルノリアの尻肉を手で開き、その間に舌を突っ込んだ。舌先に力を入れて、入る限界まで深く抉る。当然顔は尻肉の間に埋もれた。 「やだ……恥ずかしい」  アルノリアがか細く嫌がるが、逃げようとは全くしていないところを見ると、これはポーズだ。むしろ後ろが潤うと同時に、前も期待で反り返っている。  舌でたっぷり濡らした。アルノリアの膝が震えていた。立っているのがつらいほど感じているんだ。  俺は立ち上がり、アルノリアに身体を密着させた。 「もっとこっちに尻を出せよ。挿れたいんだ」 「ん……」  奴は従順に尻を突き出した。俺は下穿きをずらして、ソコにペニスを埋めていった。あたたかくて、やわらかいくせによく締まって、とんでもなくイイ(・・)孔に。 「んんんん……、うぅぅ……」  外だから、あまり声を出せないんだろう。アルノリアは唇を噛んでいた。  俺も早く終わらせたい。強く突き上げた。膝がおぼつかないアルノリアを、後ろから抱きしめて支えてやった。  アルノリアもどこかで冷静なのか、自分のモノを手で包んでいた。イっても服が汚れないように、だろう。  俺は腰を振って奴と自分を追い立てていった。 「んっ、んんぅぅ」 「くっ」  ほぼ同時だった。  イった後も、俺はアルノリアを抱いていた。奴が怠そうにしていたから。  アルノリアは薄く笑い、俺を見た。 「今朝は無理をさせたかも、なんて言ってたのに……。一日に何回するつもり?」  息が切れている。 「試しただけだろ。これで俺にその呪符は発動しないってわかったな」 「発動する方は試せないね。ほかの誰かとしなきゃいけないし」  そう言われて、俺は引きつった。  何を勘違いしたのか、アルノリアは俺の胸を指で突いた。 「大丈夫だよ。ほかの誰ともしないから。呪符を試すにしても嫌だもん」 「ああ……」  俺はブツを引き抜き、身支度を整えた。  言わないでごまかそうと思っていた。その方がいいだろうと。だが、隠すのもずるい。少なくともこいつには、知る権利がある。 「お前を襲おうとしてた奴がいた」 「……え?」  アルノリアは瞬きする。 「今朝のことだ。俺が食事に出て戻ってみると、お前の上にオークが乗ってた。犯そうとしたんだろう。殴り飛ばして追い出したが、あれはたぶん同じ宿に泊まってるな」 「それ、本当?」 「ああ。だから呪符を買えって言った」  アルノリアは眉を寄せ、考え込んでしまった。  なぜだか俺は焦燥に駆られる。こいつが苦しむ姿は見たくない。なぜって……、こいつはアホだろう? アホはアホなりに、のほほんとしている方が自然だってことだ。 「たいしたことはされてないはずだ。少なくとも下は無事だ。触られるくらいのことはあったかもしれないが……」 「襲われてるのを見たのに、それを黙ったまま、いま自分がヤったの?」  くそっ。  どうにも決まりが悪い。こういう場面は苦手だ。俺が悪いんだからなおさらだ。 「言わない方がいいかと思ったんだ。お前が怖がるかもしれないし、別に、その、未遂だったわけだから」 「それはわからなくはないけど、なんでヤったの? ゴグらしくないんじゃない?」 「何がだ?」 「ゴグは優しいし、俺が怖がるかもしれないって思ってたなら、今日はそっとしとくんじゃないかなって」 「お前は俺を誤解してる」  とは言ったものの……。  俺は後悔している。いまこいつをヤったことも、ヤる前に話さなかったことも。そもそもあのクソオークを殺さなかったこともだ。  なんでこいつに詰められなきゃならないんだ。 「別にいいだろ。ただ……ヤりたくなったってだけだ。俺がお前をヤるのに理由が必要か?」 「いつもは別にいらないけど……」  変な目つきで俺を見るな。というか、やっぱりヤるのに理由は必要ないんだな。わかってはいたが。  くそ! 「お前は俺のだろ。自分のもんに触られたと思ったら腹が立って、俺のだってお前の身体に刻んでやりたくなったんだよ」  俺は何を言っているんだ。妙に汗が出る。  アルノリアの顔が明るくなった。それはもう、音がしそうなくらいに。 「いま、俺のだって言った? 俺のこと、自分のものだって言ったよね?」  ちくしょう。  俺は腕を組んだ。 「当然だろ。これだけヤってりゃあな」 「うふふ。照れないで。俺はわかってるから」 「何をだよ」  自分でもわけがわからないのに。  俺はアルノリアの肩を小突いた。 「帰るぞ。疲れた」 「うん」  バカエルフは俺の腰に腕を回してきた。これ以上はないくらい、嬉しそうに。  歩きづらい。  が、俺はこいつを離す気にはなれなかった。迷った末、肩を抱いた。
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