輝やく未来のために

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「僕が幼稚園の頃、母が男性教諭と駆け落ちしたことで、ずっといじめられていました。反抗できない弱い自分を消したくて何度も自分を傷つけた。でも、死ぬ勇気はなかった」 悠馬はそう言ってあの学校で起こった出来事を話し始めた。 一貫校であったがために、中学になっても悠馬はいじめられ続けた。だがあの日、彼は自分で飛び降りたわけではなかったのだ。 『白豚不倫なんて生きてる価値無し』 そういじめられ、悠馬は屋上まで追い詰められた。 いつものように柵に上り彼らの手の届かない場所で彼らのいつもの遊びが飽きるのを待っていた。このまま、飛んでしまえば辛さはなくなる。そう思っていても、怖さが勝り飛び下りる事は出来なかった。 その時だった。 『お前たち、何やってる!!!』 『ああっ…!』 担任の教師の止める声に驚いて悠馬は落ちてしまった。幸い木の枝がクッションになり軽傷で済んだ。だが、悠馬の話を聞くこともなく生徒も担任も口をそろえ『思い悩んだ末に自分で飛び降りた』と証言したのだ。 「悠馬……」 あの日の事実に、俺も父も唖然としていた。 「僕がいじめられてたとなると評価も落ちる。今思えば先生も自分を守りたかったのでしょう」 悠馬は、ため息をついた。
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