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いつの間にか、夜になっていた。
雨は止み、心地よい風が吹いていて天上にはキラキラ瞬く星が見えている。駐輪場では男がCRF250を触っていた。
「あの……すいません」
俺の呼びかけにそいつは振り向き、立ち上がった。
―― 背、高っ…
177センチの俺でも見上げてしまう。差は、5センチ以上あるだろうか。近すぎた距離に慌てて下がった。
―― 大学生?かっこいいな
手足は長く、モデルの様なかっこよさだ。俺の顔を見るなり誰か気付いたようで、そいつは軽く会釈した。
黒い髪は、襟足が肩にかかっている。
自分でセットしたのだろうか。額の中央から分けられた前髪は、サイドにかけて柔らかくウェーブを描いている。色白の肌にくっきりとした黒い眉毛はきりりとしていて、俺と違う漆黒の瞳が浮かぶ目は奥二重。それは、彼を冷たいイメージに魅せていた。
どちらかというと、日本人顔というより韓流風のイケメンと言った方がいいかもしれない。
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