稜牙×つぐみ

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稜牙×つぐみ

「ただいま」 「おかえり、稜牙。ありがとう」 「ん、運ぶからつぐみは座ってて」 私は第二子妊娠中で産休に入ったところだ。今日は平日だが有給休暇を取らないといけないこともあり稜牙は休み。小兎を学校へ送ったあと、彼は修一郎さんの家まで行っていた。 「結構あるね。助かる」 「これで全部」 修一郎さんと双葉さんの間には4月初めに男の子、光琉(みつる)くんが誕生した。私は8月末の出産予定なので、光琉くんが着られなくなった50センチのベビー服と生後1ヵ月は使うベビーバスを譲り受けたのだ。 「小兎の時を思い出すね、この小ささ」 紙袋から小さなベビー服を取り出すと、数年前のおっぱいの匂いのする小兎が鮮明に思い浮かぶ。 「ベビーバスはここに一旦持ってきたが、もう見たな?屋敷の方に置いてくる。スペースが必要だからな」 「うん、お願い」 そしてベビー服の下から、マタニティーのパジャマと部屋着が出てきたのも確認し、すぐに双葉さんに電話をした。
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