4.視線の先は

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 ふわりと笑う先輩の目元からほんのり滲み出るのがグレアだと気付いた頃には、既にそんなのどうでもいいほど夢中になっていた。  グレアにあてられたのを恋愛感情だと思い込んでいるのだとしても、それでもいいと思えるぐらいには。  先輩の名誉のために言うならば、感情に合わせてほんのり浮かぶグレアに俺が過剰に反応しているだけだと思う。  高校時代に見たDomたちが撒き散らしていたような、他人を威圧するようなものでは決してない。  ここまで思い出して改めて考えると、そんな程度で心地良くなれるくらいなのだから、きっと俺と先輩は元々相性も良いはずだ……と思うぐらいは許してほしい。  先輩から恐らく一番近い存在であるSubだからこそ気付ける程度のささやかなグレア。  先輩にとっての俺は「可愛い後輩」でしかないが、少なくとも後輩としては好意をもって向けられる優しい目線。  俺を後輩として大好きだと思ってくれているのはさすがにわかる。  それなのに先輩は恋愛だと支配だとか、そういうことには無頓着なようで、当然俺の好意に気付く気配はない。  あんな僅かなグレアで心を乱されるぐらいなら、もっと踏み込んだ先には一体どんな快感が待っているのだろうかとゾクリとする。  もっと欲しい、俺だけ見てほしい。  ほかの誰かのところに行かないで、この腕の中に捕まえたい。  まずは本能からでいい。  後輩の立場で頼み事を引き出せば、先輩はどんなDomの顔をするだろう。  どんな顔で、気持ち良くなるのだろう………
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